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エアコンも設置されない室温40度の灼熱職場
「店舗には30~80歳代の従業員が働いていますが、多くは60歳以上の高齢者です。しかし10年前に厨房のエアコンが故障して以来、ずっと空調設備がなかった。佐野ラーメンをつくる調理場なんて、蒸気も湯気もすごくて、夏場の室温は常に40度以上。50度を超えるような場所もありました。このままでは死人が出てしまう。今までにも折に触れて私が総支配人T氏に対して要望を出してきたのですが、『従業員を甘やかせるだけだ』とエアコンが設置されることはありませんでした」
今年6月上旬、その事情を知った加藤氏が猛暑を前に、同社社長の岸敏夫氏(61)に直接陳情を申し入れた。
「この環境では従業員が体調を崩してしまうと訴えましたが、社長は渋っていました。だから、もし会社がエアコンの導入を決断しないなら、私が自費でエアコンを買うと申し入れた。すると『会社の体面があるのでそれはダメだ』『初期費用の安い銀行のリースなら』とエアコン設置の許可がやっと出たのです。これで猛暑のなかでも仕事に集中できると、従業員一同胸を撫で下ろしました」
しかし歓びのときは長くは続かなかった。エアコン費用の見積もりや工事の日程を詰め、今か今かとエアコン導入を待ち侘びていたなか、予期せぬ事態が起きる。