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融資凍結でエアコン導入も断念

「6月20日に本社で経営会議がありました。出席したのは、岸社長と当時の総支配人T氏、経理担当者と私。そこで社長本人の口から、親会社である片柳建設のメインバンクからの新規融資が凍結されることが伝えられたのです。しかもすでに決定していた7000万円の長期融資も停止されるという話でした。会社は積み立てていた定期を切り崩したり、延期できる支払いを延期するなどの対策を実施していると。『ケイセイ・フーズは経営危機である』という共通認識が出来上がりました。

『だからエアコン設置も今年は見送る』というのです。融資の停止は経営の根幹に関わります。従業員の落胆する顔が目に浮かびましたが、それも致し方ないと思いました」(同前)

 加藤氏は従業員に事情を説明し、「今年はエアコンなしで乗り切ろう」と説得した。しかし、その後に“ある事実”が判明する。

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©文藝春秋

「総支配人であるT氏が、経費から約800万円の個人的な支出をしていることが発覚したのです(前記事で詳報)。しかもどれも緊急性があるとは思えないものばかりでした。それだけのお金があれば、業務用エアコンを5台以上買える。耐え続けてきた従業員も限界でした」(前出・支配人)

 その上、T氏は日常的に従業員に対してパワハラを繰り返していた。「週刊文春デジタル」は、T氏が従業員を恫喝する音声データを入手した。

 収められているのは、T氏と女性従業員による2019年6月30日のやりとりだ。