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《ストライキ続行中の佐野SA》”解雇部長”がベテラン従業員たちの心を掴んだ理由

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会

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パワハラ暴言「オレはここで一番偉い総支配人だろ?」

《お客さんずっと並んでる。〇〇(従業員の名前)が来て、普通、お待たせしましたでしょ。現金でいいですか? アホかっちゅうの! お客さん怒るよ、あれじゃ。オマエなにやってるの! 裏に何人も何人もいて。しっかりせーや、オマエ! 客舐めんのもたいがいにしろ、オマエ! 何がマネージャーだ、何考えてんだよ》

《おめーら、しっかりしてねーからだボケ! ボコッ(何かを叩く音)》

《腹立ってしょうがないわ。……クビにしようかな》

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 この1カ月前にも、T氏は他の従業員を強い口調で叱責していた。加藤氏は被害にあった従業員からパワハラの詳細を聞き取っている。

「従業員がT氏に対して『Tさん』と呼びかけたところ、T氏は『おい〇〇(※従業員の名前)! わかってねーじゃねーか、コラ! オレはTさんじゃない。T総支配人だろ! なんでオマエごときに名前で呼ばれなきゃいけないんだ! オレはここで一番偉い総支配人だろ? わかってんのか!? オマエらはどうせいくところなんか無いんだから、立場をわきまえろ! 潰すぞコラ!』と罵声を浴びせたというのです」(加藤氏)

いつも混雑しているレストランには誰もいない ©文藝春秋

 7月11日、加藤氏はパワハラと納得のいかない経費の支出を理由に総支配人T氏の退任を求め、マネジャークラス以上約20人の署名を集めた。そして翌日、T氏に退任を迫った。

「『これが従業員の総意です』と言って、署名を見せました。そこにはT氏が可愛がっていた部下の名前もあり、T氏はとても信じられないといった表情でした」(加藤氏)

 T氏は翌日には退職を決意したという。

「しかし、すぐに社長からT氏の退職要求を撤回するように、と申し入れがあったのです。社長はT氏を可愛がっていましたから。ただ、それを飲むわけにはいきません。ケイセイ・フーズ労働組合初の大会を開き、T氏の退職とエアコン設置を再度要求するため、『非人道的かつ劣悪な労働環境の改善要求』を申し入れました。

 T氏は自身のパワハラはあくまで従業員への“教育”で、自分は従業員から認められていると思っていたようです」(同前)

 ケイセイ・フーズが8月18日に報道各社へ送ったストライキに対する見解を記した文書には、「弊社の従業員は、本年7月、『ケイセイ・フーズ労働組合』を結成し(但し、労働組合は弊社に対して労働組合通知書等を送付してきておりません)、同月16日、弊社に対して労働組合結成通知》」とある。