「一緒に仕事をする」こと。それが佐々木倫子の描く最上級の愛情表現、らしい。
……というのが私の個人的見解なのだけど、現在、TBSテレビにて火曜22時に『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』というドラマが放映されている。石原さとみが傍若無人なレストランのオーナーを演じ、福士蒼汰演じる主人公がそこのサービスマンとなるところから始まる物語である。
なぜ、今ドラマ化?
原作は、佐々木倫子による漫画『Heaven?』(全6巻、小学館)。連載された時期は意外と古く、『週刊ビッグコミックスピリッツ』にて1999年40号から2003年29号まで連載されていた(途中の休載も含む)。
2003年に完結した漫画がいったいなぜ今ドラマ化されるのか……という疑問を抱く人は少なくないはずだ。というか、私自身不思議に思った。佐々木倫子ファンとしてはとても嬉しかったけれど、一方で「なぜ今!?」とツッコミを入れたくなった。
しかし、佐々木倫子の過去の漫画が最近になってドラマ化される、という現象は『Heaven?』に始まったことではない。北海道テレビ放送(HTB)の開局50周年記念作品として、『チャンネルはそのまま!』(原作は全6巻、小学館より刊行)が2019年になってドラマ化され、現在ネットフリックスでも配信されている。
こちらは北海道のテレビ局を舞台に、報道部の新入社員として入社した主人公(ドラマにおいては芳根京子さんが演じた)とその周囲の人々の働きっぷりを描いた漫画である。ちなみに連載されたのは2008~ 2013年。
そもそも、現在連載されているわけではない漫画がドラマ化されること自体が異例なのに、なぜ2作品も佐々木倫子作品に限って「今」ドラマ化されるのだろうか?
恋愛が盛り込まれることが多い、火曜の夜のドラマ枠
佐々木倫子の漫画というのは、一見、火曜の夜にTBSドラマで放映されるような内容とはかけ離れているように思える。たとえばTBSの火曜夜ドラマといえば、最近だと『初めて恋をした日に読む話』(2019年1月15日~3月19日、全10回)や『わたし、定時で帰ります。』(2019年4月16日~6月25日、全10回)のように、「女性が働くことと恋愛をすること」を描いた作品が多いのだ(注1)。
しかし、佐々木倫子の描く主人公たちは、「恋愛」というものを度外視して生きている(ように見える)。