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 文大統領は「頭の中の80%が北朝鮮で占められている」と評されるほど、親北路線を推進している大統領として知られている。彼が推進しようとしている南北融和構想を、ことごとく安倍政権が邪魔をしてきた――。こういった被害感情にも似た考えが、文大統領の思考の根底にあったというのだ。

「また、米韓合同軍事訓練についても、安倍政権は『永続的に続けるよう』米国に進言していた。こうした行為は韓国に対する内政干渉にあたると、韓国政府内では批判的に考えられていた」(同前)

トランプも『韓国の態度は酷い』と批判

 しかし、北朝鮮は一向に非核化プロセスを実行しようとせず、ミサイル実験も繰り返している。このような危険な国との融和に、日本や周辺国が理解を示せるはずもない。

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 文大統領の決定は東アジアの安全保障を大きく揺るがしている。

「北朝鮮はGSOMIA破棄をあざ笑うかのように、24日に短距離弾道ミサイルとみられる飛翔体2発を発射した。こうした状況に危機感を募らせている米国政府も韓国の決定に遺憾の意を表明しており、トランプも『韓国の態度は酷い』と批判しています」(外信部記者)

ドナルド・トランプ米国大統領(左)と文在寅・韓国大統領(右) ©getty

 李大根(イ・テグン)・前成均館大学校名誉教授は、文大統領への不信をこう語る。

「かつて金日成は『カックン理論』というものを提唱していたことがあります。“カッ”は朝鮮の伝統的な帽子で、“カックン”は帽子をかぶるための顎紐です。顎紐片方を切れば帽子はかぶれなくなります。

 その原理と同じように、韓国の力を奪うためには、日本、米国のどちらかとの関係を悪化させればいいという理論です。紐の一方だけ切れば韓米日の三国間のバランスは崩れる。この理論を実践するかのように文大統領は日本と対立を深める政策を矢継ぎ早に繰り出しているように見えます」

 日韓が対立を深めるほど米韓の関係も悪くなる。そこで漁夫の利を得るのが北朝鮮なのだ。