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きっかけは徴用工判決ではなく、平昌五輪……GSOMIAを破棄した文在寅の思考とは?

「38度線を対馬沖まで南下させよう」という主張も

2019/08/28

genre : ニュース, 国際

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 こうした文大統領の危なっかしい外交政策は“新瀬戸際外交”と評されるようになってきている。瀬戸際外交とは緊張を高めることにより交渉相手に譲歩を迫る政治手法だ。ご存知のように北朝鮮の常套手段で、ミサイル実験や恫喝的なメッセージを発信することで、有利な外交条件を引き出そうとしてきた。国際ルールや国際協調を無視した行為を繰り返すのがその特徴である。

不可解な強硬姿勢と譲歩要求

 文在寅大統領も同様に、2015年の慰安婦合意を無視し、GSOMIA破棄するなど、国際ルールや国際協調を無視した外交政策を続けている。一方で日本が経済措置を取ることを決めると、自らのルール違反への自省もなく文大統領は「状況を悪化させた責任が日本政府にあることが明確になった以上、今後の事態の責任も全面的に日本政府にあることをはっきりと警告する」と批判。

 更に韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相も26日、韓国国会で「(対韓輸出規制強化など)日本の不当な措置が元に戻れば、わが政府もGSOMIAを再検討する」と一方的に日本へ譲歩を迫る言動を繰り返した。その恫喝と譲歩要求を繰り返す様は、北朝鮮のやり口とそっくりになってきた。

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2019年9月16日、新兵器の試射を指導する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長 ©時事通信社

韓国左派からは過激な主張も

「38度線を対馬沖まで南下させよう」

 いま韓国の左派勢力(文在寅大統領の支持層でもある)の間ではこのような言説が流布されている。朝鮮戦争の休戦境界線である38度線を、日本海まで下げようという意見だ。つまり、北朝鮮と韓国の対立から、南北朝鮮と日本との闘いへとシフトして行こうという考えが左派の根底にはあるのだ。

 平昌オリンピック時からため込んでいた不満が安倍政権の経済措置(北朝鮮への不正輸出疑惑も理由の一つとされた)を契機に爆発した。平昌五輪の頃から続く日本への反発と、そして親北朝鮮の姿勢から始まったのが文大統領の反日姿勢なのだ。

 文在寅政権が進める“新瀬戸際”外交で、日韓関係は破局への道をひた走ろうとしている。

きっかけは徴用工判決ではなく、平昌五輪……GSOMIAを破棄した文在寅の思考とは?

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