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児童相談所から接見禁止命令 育ての親は「虐待なんてないのに……」

児童相談所から接見禁止命令 育ての親は「虐待なんてないのに……」

背景に「子どもの取り合い」か

2019/09/09

genre : ライフ, 社会

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警察に「誘拐された」と通報する祖母

 夏休みになり、Aさん夫妻は、四国へ長男と次女に会いに行った。次女は「一緒に住みたい」と言い、愛知県に連れて帰ろうとした。そのとき、祖母が警察に電話。「誘拐された」と通報した。結局、次女は四国に戻った。そんな中、長男は、実父が九州にいることを知り、会いに行ったきり帰ってこない。

「義母(=子どもにとっては祖母)の情報ですと、実父の家には子どもが4人いたという。そのため、食事を出してもらえない。継母からは性的な目で見られているので怖いと言っていた、と言います。このことを愛知県内の児相に伝えたんですが、濁しています。介入がないのでしょう」

 9月になってから、Aさんは児相の児童福祉司との面談で、「長女に関しては、養育実績があるので、親権を取りましょう。その上で、次女の親権をとりましょう」と助言された。しかし、翌10月、児童福祉司から「長女を一時保護します」と連絡が入った。「性的虐待の通告がある」とのことだった。

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©iStock.com

 誰が通告をしたのかは目星がついた。祖母ではないかとのことだった。しかし、児相は「とにかく調査します」との一点張り。児相へ行くが、「担当者がいない」と面会できず。その後、児童福祉司は顔を合わせなくなった。話を聞いている人はメモも取らない。2018年3月からは、次女とも連絡を取れなくなった。

子どもが自由な生き方をできるように

 取材をしていると、児相との関係が悪くなるケースを耳にする。虐待の疑いがあれば、一時保護したり、施設入所が検討されてもいい。しかし、両親が育てる意思が希薄で、親権者である祖母と事実上の養育者であるAさん夫妻の関係も良好ではない。子どもの取り合いになり、その手段として「虐待通報」が利用されているようにも見える。

 Aさんたちはツイッターで同様の経験をした人と繋がった。子どもたちの居場所がわかり、所在確認をしたところ、2019年7月、児相から「接見禁止命令」が出された。

「子どもがどこにいるのかは確認することができました。そして、どこから情報が流れているのかを確認するため、所在確認をしたことを妻から義母に流しました。そのあとに児相から連絡があったんです。虐待通報しているのは、きっと義母です。不当な一時保護だとは思いますが、弁護士も降りたため、審査請求をしたり、情報開示請求しても無理だと思います。しかし、子どもが選んだ生き方ならいいです。子どもには自由な生き方をしてほしいです」

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