朝の連続テレビ小説『まれ』で、主人公の希に意地悪な先輩パティシエ・矢野陶子役を演じた柊子さん。いわば“いびり役”で注目を集めたが、普段は天然の癒し系で作詞家の顔ももつ才女だ。ディーン・フジオカさん主演の映画『結婚』の相棒役にも抜擢され、ますます注目される中、劇団Team337旗揚げ、座長として2月下旬、赤坂RED/THEATERでの東京公演に臨む。

――舞台でのキャリアはずいぶん長く積まれていますよね。

 所属事務所のアトリエ公演を10代の頃から、少なくとも年に一度は続けています。ドラマに出演させていただくようになっても、舞台は私にとって原点です。幕が開けばどんなことが起こっても止まらないドキドキ感があるし、お芝居は生ものなので色んな化学反応が起こります。そのひとつひとつが、自分を少しずつ成長させていってくれていると思います。

「女って怖いね・・・・・・」

――今回の舞台は柴田よしきさんの「猫は毒殺に関与しない」が原作です。

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 これまでの多くは、お客様に笑って楽しんでいただけるようにと願いながらオリジナルの作品を上演してきました。原作ものの舞台は初めてです。柴田先生の作品の中でも人気の根強い「猫探偵正太郎シリーズ」の一作ということで、嬉しい反面、原作ファンの方がどうご覧になるか戦々恐々としています。女流作家をめぐっての普段は口にできないような本音、嫉妬が物語を動かしていくんですけれど、演出の嶋尾(康史)さんからは、「女って怖いね……」と言われてしまいました。舞台化にあたってはオリジナル要素も加え、最後に大どんでん返しがあります。読んでから観ていただくのでも、観てから読んでいただくのでもどちらでも楽しめると思います。

演出の嶋尾康史氏(左)。自らも映画やドラマで活躍、最近では舞台「シェイクスピア物語」に出演。

――新たに「Team337」を旗揚げ、東京の名門劇場で座長としてのプレッシャーは?

 新人の役者さんも加わってのスタートでしたが、出演者全員がひとつの方向に向かって作品を作ってきました。昔から長く一緒にやってきた仲のいいメンバーとも、オンとオフはしっかりさせて舞台ではライバル同士。「火花を散らす」じゃないですけれど、お互いがぶつかりあっていいものになった手応えはあります。昨年の大阪公演はおかげさまで連日満員でしたが、今度の赤坂RED/THEATERはより大きな晴れの舞台。私自身も観客として何度か通っていますが、距離感が近すぎず遠すぎず、空気感も、第一印象から好きな劇場でした。そこで自分の公演ができるなんてすごくすごく嬉しいです。

劇中ヒロインの作家・桜川ひとみがホームパーティーを開くのだが、差し入れのケーキの中身が……

ディーンさんはハートの熱い方です

――この夏に公開の映画『結婚』にも、ヒロインとして注目が集まりそうです。

 12月の大阪公演が終わり、年が明けてから1月いっぱいが映画『結婚』の撮影でした。ディーン・フジオカさんの相棒という重要な役ですので、少なからず不安な気持ちもあったんですが、あまり意識せずにしっかりお芝居をすることを心がけました。1月ということで、寒空の下での撮影が多かったのですが、ディーンさんはいつも周りに気を遣われる方で「ストーブの近くへどうぞ」と声をかけて下さったり……また、撮影現場では、どんどん新しいアイデアを提案され、どんなシーンにおいても妥協を許さないストイックな姿を目の当たりにしました。とてもハートの熱い方だなぁ、と思いました。

 どの現場に出ても、撮影では必ず得るものがあるし、いろんな刺激を受けます。もちろん厳しさを感じることもあるんですが、そこでの戦う姿勢というか、強い気持ちを舞台を作る時にも活かしたいです。観にきていただいた方に、またTeam337のお芝居を観に行きたいと感じてもらえるよう、今までよりもさらに進化した柊子を皆さんに観ていただけたらと思っています!

写真=杉山秀樹/文藝春秋