1ページ目から読む
3/3ページ目

「誰に勝ちたいという気持ちはありません」

 以前、大迫はこんな風に語っていた。

「もちろん走るからには1番になりたい。だけど誰に勝ちたいという気持ちはありません。もしレースで負けたとしても、僕は100%の力で走ったけれど、その時点での1位と2位の選手の100 %が自分より上だったということだけ。僕と同じように他の選手もすごく頑張ったのは想像できますし、そう考えると1位と2位の選手はすごいなっていう思いだけです。マラソンは自分との戦いで、僕は僕が出せる100%の力を出して走るだけです」

 3位ではあったものの、MGCは大迫にとっては悔いのない走りができたのではないか。だからこそ、すでに気持ちを切り替えているのではないか。そう感じさせる姿だった。

ADVERTISEMENT

2時間11分41秒でゴールした大迫 ©杉山拓也/文藝春秋

待つのか、また自己ベストを狙うのか

 同じく四強と称された設楽と井上は呆然とした様子でミックスゾーンに現れ、言葉少なく去っていった。大迫だって同じような状態でもおかしくはなかったのだ。

 だが、日本代表の残りひと枠をかけたファイナルチャレンジへの挑戦を問われると、「コーチと相談して待つしかないのか、また自己ベストを狙っていくかはしっかりと考えていきたいと思っています。今回の大会でプレッシャーがなかったといえば嘘ですが、それをうまく力に変えていく方向で頑張るしかないと思っています」と語り、その目はすでに次のステージへと向けられていた。

 明暗が分かれた一発勝負のMGC。試合後「悔しい思いは常に僕を強くしてくれます」とツイートした大迫。次のレースでどんな強さを見せてくれるのかが待ち遠しい。