中古住宅取引における3つの利点とは?
実は中古住宅取引の場合、3つの利点がある。1つには中古住宅は建物がすでに竣工しているので契約引き渡しが即日で可能であること。2つには中古住宅は建物が減価償却して価値が下がっているので、消費税が課税される建物比率を小さくできること。そして3つには売主が個人であれば取引にあたってそもそも消費税が課税されないことである。
特に注目すべきは3つめの個人間売買では消費税が課税されない点である。新築マンションと同じ6000万円の中古マンションを買う場合に8%で480万円、10%にアップ後なら600万円もの消費税を負担せずにすむのである。税金のペイバックに惑わされて高額のローン返済を強いられるよりも、初めから消費税分を節約できる中古住宅のほうがはるかに「お得」という結論になるわけだ。
幸い首都圏の住宅マーケットは十分に成熟している。以前のような「住宅難民」の言葉も聞かれなくなり、住宅は新築にさえ拘らなければ選択肢は多岐にわたるようになってきた。
日本人の「新築信仰」も都市伝説になりつつある
これからは東京都内でも大量の相続が発生することが見込まれている。団塊世代以上の多くが都内の大田区や世田谷区、杉並区などで戸建てやマンションを保有し、居住している。これらのエリアでは今後、時の経過とともに相続が順次発生することは自明だ。相続人の多くが親の家を賃貸や売却に拠出することが十分に期待できる。
マンションデベロッパーは今、都内でマンション建設用地の確保がままならず、戦線を郊外や地方に移しているが、これからの住宅購入者にとっては何も彼らにお付き合いして、あまり立地のよろしくない郊外の物件を高い消費税まで負担して購入せずとも、相続発生でマーケットに出てくる優良な中古マンションや戸建てを購入するチャンスは今後いくらでもでてくるのである。
新築マンション業界の思惑とは異なり、意外と消費者は世の中の動向を良く観察しているのかもしれない。これまで日本人は中古よりも新築住宅を好む特性があると言われたが、どうやらこの「新築信仰」が都市伝説となる日も近いようだ。