「文藝春秋」10月号の特選記事を公開します。(初公開 9月13日)

 AIG全英女子オープンで、日本人42年ぶりのメジャー制覇を成し遂げた渋野日向子(20)。大舞台の重圧にも気負わず、笑顔で観客とハイタッチしたかと思うと、力強いティーショットを放ち、次々と難しいパットを沈めていく――。12日に行われた「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」では、70でホールアウト。国内での連続オーバーパーなしラウンドを29とし、ツアー新記録を達成した。

 破竹の勢いで躍進する渋野。全世界を魅了した“スマイルシンデレラ”はどのようにして育ったのか。

全英のトロフィーを手に ©共同通信社

「感情を抑えられなくなるところもありました」

「昔から笑顔ばかりというわけじゃないんです」

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 そう明かすのは、渋野の母・伸子さん(51)だ。

 のどかな田園風景が広がる岡山市郊外で、3姉妹の次女として生まれた渋野。ゴルフを始めたのは小学2年生の時、同級生の父親に誘われたのがキッカケだった。ともに筑波大陸上競技部出身という両親譲りの運動神経と、「3姉妹で一番負けず嫌いな性格」(同前)で、ゴルフの腕前もめきめきと上げていく。

渋野伸子さん ©共同通信社

「ただ、子どもの頃の日向子は、思うようにスコアが出ないとラウンド中でも悔しくて泣いたり物に当たったり、感情を抑えられなくなるところもありました。これでは一緒に回って下さる方にも迷惑ですよね」(同前)