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「しっぽを隠す」「しっぽを大きく膨らませる」の意味は?
「足の間にしっぽを隠す」…猫はとてつもない恐怖を感じていると、このしぐさをします。動物病院の診察台でよく見受けられるしぐさではないでしょうか? 身体もこわばっているのがよくわかりますよね。しっぽを足の間に収めることで、肛門周りにフタをして、自分のニオイを消して恐怖の対象から自らを隠そうとしているのです。まったく歯が立たないボス猫に遭遇した際には、服従の意味も持つしぐさです。
「まるでタヌキのように、しっぽを大きく膨らませる」…猫がとても驚いたときや非常に怒っているときは、しっぽが通常の2~3倍に膨らみます。この現象は交感神経が関与しています。第1章でご説明した、脳幹の視床下部に交感神経の中枢は存在し、刺激を受けると、この交感神経が緊張し、アドレナリンが分泌されます。それと同時に、体表の浅いところに張り巡らされた立毛筋が収縮してしっぽの毛を逆立てるのです。これは、人がぞっとしたりする際に「鳥肌が立つ」メカニズムと同様です。意識して行っているわけではなく、反射的な行動ですが、結果、しっぽだけでなく全身の毛も逆立ち、身体を大きく見せて威嚇しているのです。このように、猫のしっぽは雄弁ですが、なかにはしっぽがない、あるいは短い猫もいることでしょう。そうなると、長いしっぽのようには感情を表せないので、飼い主は他の部位で猫の感情を読み取るようにしたいものです。
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