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ラグビー日本代表躍進の理由は、外国出身選手が「助っ人」でなく「我々」になったこと

2019/10/01
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日本の「開国」は1980年代前半

 日本の「開国」は大東文化大がトンガ人留学生を受け入れた1980年代前半に遡る。85年には三洋電機の名選手として名高いシナリ・ラトゥも入学している。ラトゥは先輩のノフォムリ・タウモエフォラウとともに、日本代表でもプレーした。

 両氏は今も日本で暮らし、ラグビーに関わっている。ノフォムリは甥も日本代表で活躍し、ラトゥの息子は現在パナソニック ワイルドナイツでプレーしている。

 トンガ人留学生も来日当初は体育会的な上下関係に苦しんだそうだが、今のラグビー界は悪しき因習が薄れた。今回の代表には東海大、拓殖大など7大学への留学経験者がいる。各校は彼らをインターナショナルレベルまで育てた。

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大東文化大時代のシナリ・ラトゥ ©文藝春秋

日本の選手も海外へ

 国際化は決して「外国→日本」の一方通行ではない。例えばHO堀江翔太、SH田中史朗らはスーパーラグビーで南半球のチームと契約し、武者修行を積んだ。言語の壁が下がり、コミュニケーションはスムーズに進む。エスニックグループを越えた、ハイブリッドな競技文化が根付いた。

 多様な属性の人材を活用する「ダイバーシティー」が唱えられる昨今だが、日本のラグビー界はその先駆で、今まさにその果実を得ている。ジョセフ監督、エディー・ジョーンズ前監督のような外国人指揮官が力量を発揮できる体制が整った。

 もう一つ大きな要素はジャパンラグビートップリーグの充実だ。サッカーのメッシ、バスケットのレブロン・ジェームズに相当する「レジェンド級」が次々に来日している。普段から世界の一流と共にプレーし、世界的な名将の指導を受ければ、日本出身選手のレベルも上がって当然だ。