奇跡も二度続けば実力だ。9月28日のラグビーワールドカップ・アイルランド戦で、日本は世界ランク2位の強敵を19-12と退けた。2015年の南アフリカ戦に続く快挙だった。

 確かな地ならし、基礎があるからこそ建築物は映える。今回は選手たちのパフォーマンスを支える背景について語りたい。理由を大きく二つ挙げると外国出身選手の「日本化」と、トップリーグの充実だ。言葉にすれば簡単だが、掘り下げると決して簡単な話ではない。

「外国人を使えるから強化が楽」なのか?

「ラグビーは外国人を使えるから強化が楽」という意見を聞く。確かにこの競技の代表資格は「3年以上の居住歴」で認められ、他競技に比べて柔軟だ。(※2020年末から必要な居住期間が5年に伸びる)

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 しかしコトはそう単純でない。ラグビーは身体を張り、助け合う競技。互いが「仲間に命を預けていい」という信頼関係で結びつかなければ勝つカルチャーにはならない。

 1999年のW杯で、日本は6名の外国出身選手を起用した。95年にニュージーランドの準優勝に貢献したグレアム・バショップ、ジェイミー・ジョセフ(現日本代表監督)のような超大物も、ジャパンの主力としてプレーした。しかしチームはサモア、ウェールズ、アルゼンチンに完敗。0勝3敗で大会を後にしている。

外国出身選手が「我々」になっている今のジャパン

 今のジャパンは外国出身者が助っ人でなく「我々」になっている。ちなみに15名の外国出身選手がいて、そのうち8名が日本国籍だ。(※松島幸太朗は南アフリカ生まれだが、日本育ちなので日本出身に数えた)

リーチマイケル ©JMPA

 また15名中9名が日本の学校を出ており、日本語の会話に不自由しない選手が多い。キャプテンのリーチマイケルも札幌山の手高校への入学と同時に来日し、ラグビー的には日本育ちだ。

 国外でプレーするポリネシア出身のアイランダーは、引退後もその国で暮らす例が多い。彼らが移住する国には日本も含まれる。