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ドラフト直後は不安を感じていたが……

 プロ野球生活1年目の今季、リーグ優勝は逃したけれど、得たものも数えきれないほどあります。

「優勝争いをしているチームの大事な場面で投げさせてもらいましたし、こんなにたくさん投げられたのもケガしないように上手く起用して下さった首脳陣やケアして下さったトレーナーさんたちのお陰です」

 収穫と感謝の言葉が次々と出てきました。

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 6番手でプロ初登板した開幕戦で勝利投手になった“もってる男”は、初登板から13試合連続無失点のプロ野球記録を更新する活躍でセットアッパーに定着。そして65試合登板は球団の大卒新人投手の最多登板記録を大きく更新するものでした。「こんなに投げられるとは思ってもいませんでしたし、こんなに投げても自信はありません」と相変わらず謙虚ですが、経験と実績を着実に積み上げてきました。

 これほど大きな1年になるなんて……甲斐野投手はこんなルーキーイヤーを想像もしていませんでした。

東洋大4年時の甲斐野投手を直撃した時の写真。「かい~のポーズ」模索中 6copy;上杉あずさ

 実は、ちょうど1年ほど前。埼玉県川越市にある東洋大学のグラウンドに甲斐野投手を訪ねました。その時は、福岡のRKBラジオ「ホークス&スポーツ」という番組でドラフト後の甲斐野投手を取材させて頂いたのですが、常勝軍団に仲間入りすることに「自分はやっていけるのか」と不安を感じていました。

 大学4年時は抑えを任されていましたが、「抑えはホントに楽しくない。辛いっす。サヨナラ負けもあるし後がない」とやりがいを感じながらも毎試合のプレッシャーを吐露していました。抑えになりたての頃はソワソワしてしまい、1回からブルペンにいたこともあったそうです。プロに入って1年目の今季、森投手離脱中に“代役守護神”を務め、8セーブを挙げたたくましさとのGAPがスゴイです。

 新人王候補にも名前が挙がる甲斐野投手ですが、そこには色気を示さず謙虚。目指すのは初のクライマックスシリーズを勝ち抜き、初の日本シリーズの舞台です! “甲斐野投手のお陰で逆転日本一になれた”と言われるようなナイスピッチングに期待しています!

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