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「なるようになる」 ベイスターズを去る筒香嘉智に伝えたいケ・セラ・セラ

文春野球コラム クライマックス・シリーズ2019

2019/10/14
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「なるようになる」筒香を信じているから、そう言える

 2019年CSファーストステージ第3戦。9回、アカペラで歌い続けた筒香の応援歌。これが最後になるかもしれないとどこかで思い、それを打ち消すように声を張った。2017年CSの、あの甲子園よりもっと冷たい雨が、私の涙をスタンドへと落としていた。

「筒香はメジャーで活躍する?」「チームを勝たせる一打を放てる?」 ©文藝春秋

『ケ・セラ・セラ』の小さな少女は、やがて母になり、子どもに同じことを聞かれる。「僕はハンサムになれる?」「お金持ちになれる?」。彼女は優しくこう語りかける。「気にしてもしょうがない」「なるようになる」「明日のことはわからない」。

 私は今、「なれるよ」とは言わずに『ケ・セラ・セラ』と歌う、お母さんの気持ちがとてもよく分かる。「筒香はメジャーで活躍する?」「チームを勝たせる一打を放てる?」。私もやっぱりこう答えると思う。「気にしてもしょうがない」「なるようになる」「明日のことはわからない」。『ケ・セラ・セラ』は突き放す言葉ではない。『ケ・セラ・セラ』は信頼の言葉だ。筒香を信じているから、そう言える。「活躍」より「成功」より、もっともっとすごい未来が筒香を待っているからそう言える。だから「なれるよ」とは言わずに、『ケ・セラ・セラ』と言って送り出すと決めた。決めたの。

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 ありがとう筒香。自分のエゴと戦いながら、優勝争いできるチームの土台を築いてくれて、筒香ありがとう。言いづらいこと、誰もが見て見ぬ振りをすることに、声を上げてくれてありがとう。メジャーでは、ねこのように自由に、軽やかに、自分のエゴを満たしてくだい。私には見える。「オオジーザス……メッチャプリティツツゴウ!!」「コンナニプリティバットホームランバチコンアンビリーバボー」と一瞬で虜になるAunt TSUTSUGOHの姿が。いやマジ負けらんねえジャパニーズトラディショナル筒香おばさんとしてな!!

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