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武田勝が日ハムに帰ってくる? “投手コーチ就任報道”に対するファン心理

文春野球コラム クライマックス・シリーズ2019

2019/10/13

 フェニックスリーグで吉田輝星が好投しました。9日の対ドラゴンズ戦です。7回5被安打2失点というトータルの内容もさることながら、何といっても注目は根尾昂を3打席完全に抑えたことでしょう。しかも奪三振2つです。ツイッターでこの結果を知った時は、「ああ普通だったらこれで道新スポーツの1面は間違いなしだったのになあ」なんて思ったものでした。

 いや、だって9日なんですよ。小笠原道大14年ぶりにファイターズ復帰、コーチ就任という発表がされた日です。ニュースバリューとしては当然こっちの方が大きいでしょう。ジャイアンツがCSを戦っている最中なのでスポーツ報知はそっちでしょうけれども、あとは全部「ガッツ復帰」だろうなあ(北海道のスポーツ報知は、ジャイアンツではなくファイターズが1面に来ることがたまにあるのです)。

 と思い込んで翌10日、最寄りのセイコーマートに行ってみたら。

 どどーんとでっかい「小笠原ヘッド兼打撃コーチ」の文字は球団の発表に先んじてスクープした日刊スポーツ。「魅せたドラ1対決 輝星根尾に圧勝」って、えっやっぱり道新スポーツはこっちですか。あ、スポニチの1面も「ガッツ入閣」ですね……え?

「ガッツとW入閣 武田勝氏」

 えええーっ!?

《日本ハムが投手コーチとして球団OBの武田勝氏(41)の入閣を検討していることが9日、分かった。》

 分かった、とあるだけでその情報がどこからもたらされたものなのか、吉村GMが匂わせたのか週刊誌っぽく「球団関係者による」なのか、一切言及はないのですが、しかし《武田氏が4年ぶりに北海道に帰ってくる。》ときっぱり言い切っているのですね。

ファイターズの投手コーチ就任報道があった武田勝氏 ©時事通信社

戻ってくるのは既定路線

 まあ彼の場合、外に出て石川ミリオンスターズの監督をしているとはいってもファイターズから派遣されているという形なので、球団が呼び戻そうと決めたのなら、自動的にそうなると言ってもいい訳です。もちろん本人にも否やはないでしょう。北陸放送MROラジオで「拝啓、武田勝です~やっぱり今年も石川にいます~」という長いタイトルの番組を9月までやっていたのですが、そこでは「そろそろ帰りたいとぼやく武田勝を来年もやりましょうよと引き止めるMRO谷川恵一アナ」というコンビ芸が確立しておりました。野村克也の教え子にして「水曜どうでしょう」藩士である武田勝のことなので、ぼやきの内容全てを文字通りに受け取るのも野暮に違いないのですが、少なくとも彼がファイターズから出たっきりになるつもりのないことだけは確かだと思われるのであります。

 という諸々を考え合わせると、戻ってくるのは既定路線。不意打ちでスポーツ新聞の大見出しを見たからといって、何もそんなに驚くことはないじゃないかと思われるかもしれませんが。

 何となく、コーチじゃないような気が勝手にしていたんです。ミリオンスターズでの1年目が「ヴァイスプレジデント」という肩書で、つまりは球団副社長というような役職だったのですよね。スーツ姿の武田勝を最初に見たもので、戻ってくる時はフロント入りだろうかと短絡的に思い込んでしまっていたところがありました。その後2シーズンも監督をやっていたというのにです。いやあ思い込みは怖い。

 そうかあ、勝さんが投手コーチですか。ピンチになったらマウンドに行ったりする訳ですね。木田さんも吉井さんも大柄だったから、何かまだ勝さんのイメージがわかないなあ……。

 ってちょっと待った。まだスポニチ1紙が書いたっきりじゃありませんか。

 誰かがFA宣言しそうだとか新監督人事とか、球団からの発表ではなくスポーツ新聞側のスクープの場合、第一報の時点ではファンは大抵まだ様子見です。嬉しいニュースの時はぬか喜びになったらいやだし、悲しいニュースの時は飛ばし記事の誤報であってほしいし。半日くらい、他紙の後追い記事が出るまでは態度を保留して、ツイッターでもあまり言及しないという人は少なくありません。そのうちに3紙くらいの記事が出揃って、一般紙やテレビでも、となって初めて「どうやら本当であるらしい」と受け止めます。そうこうするうちに球団から正式な発表があって、事実確定という流れです。