『カノジョは嘘を愛しすぎてる』でオーディションに参加した5000人の中からヒロイン役に選ばれ一躍話題になった大原櫻子さん。演技力もさることながら、圧倒的な歌唱力を武器に舞台やミュージカルでも活躍しています。来年2020年には名作ミュージカル『ミス・サイゴン』でヒロイン役が決定している大原さんに聞く、鮮烈なデビューからこれまで。(全2回の2回目/#1より続く)

 

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5000人から“佐藤健の相手役”に選ばれた鮮烈デビュー

――明智小五郎と怪人二十面相が登場する、現在公演中のミュージカル『怪人と探偵』ですが、このタイトルだけでは予想もつかないようなストーリー展開が面白かったです。

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大原 お客さんの予想を裏切って裏切って進んでいくので、皆さんに「びっくりした」という感想を頂くことも多いですね。ストーリーだけではなくて、昭和モダンな衣装やセット、大規模な舞台演出なんかも見所で、本当に盛りだくさんの作品です。

――大原さん演じる令嬢・リリカも、第1幕と第2幕で印象がガラリと変わりますよね。

大原 第1幕では「この子ってどういう子なのかな?」という印象で終わるんですが、その後にリリカの持つ闇が晒される。リリカに限らず、第1幕では「どうなってくんだろう」がいっぱいあって、第2幕でその疑問が面白さに次々と変わっていくのを体感していただける作品です。

 

――大原さんの圧倒的な歌唱力にも引き込まれました。そもそも大原さんは17歳のときに映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(以下『カノ嘘』)で5000人の中からヒロイン・理子役に選ばれ、スクリーンと同時にCDデビューを果たします。まさにシンデレラガールですね。

大原 ありがとうございます(笑)。オーディション自体は半年以上の長い期間で、「もしかして映画の話自体なくなるんじゃないの?」と疑ったほどで。

――何次選考ぐらいまであったんですか?

大原 うーん、4次選考以上ですね。最初はドキドキしていたんですが、段々と呼び出されても「またか」ぐらいにしか思わなくなっていたんです。そしたらまた「打ち合わせで来てください」って言われて行ったら、会議室に人がブワーって並んでいて「座ってください」と。もしかして何か怒られるのかな? とか考えていたら「あなたが理子役に決まりました。相手役は佐藤健さんです」といきなり発表されて……。

 

――そこで相手役も発表されたんですね。

大原 「えー、ガムのCMで踊ってる人じゃん!」って(笑)。でも、うわぁ……と困惑と感動を同時に感じた後、すぐに頑張らなきゃっていう焦りがこみあげてきて。舞い上がろうにもなかなか舞い上がれなかったんですよね。

――オーディションでは歌唱審査もあったそうですが、大原さんの選曲には女子高生が歌うにはちょっと珍しいような曲が入っていました。美空ひばりさんの『愛燦燦』や、平井堅さんの『LOVE LOVE LOVE』(絢香cover ver)というラインナップで。

大原 流行とかには疎いんですよね……。なので両親の影響もあったりして、好きな楽曲は昔のものが多かったりします。洋楽も聞いたりします。

 理子役だったら、もっと流行りの楽曲を選ぶべきだったのかもしれませんが、自分の好きな曲、自分の歌唱力を最大限発揮できる曲を選びました。