「嫌です! 私はここから絶対離れません! 絵も売りません!」
9月に最終回を迎えた朝ドラ『なつぞら』で、涙ながらに夫・天陽への想いを語る妻の靖枝役を演じた大原櫻子さん。
 朝ドラ初出演となった今作で、ヒロイン・なつを演じた広瀬すずさんは「何でも話せる親友」であり、夫・天陽を演じた吉沢亮さんとはこれまで初主演映画をはじめ、大原さんの俳優人生における“ターニングポイント”で度々共演しています。
 同世代の俳優仲間とのエピソードや、『なつぞら』名シーンの撮影秘話をお伺いしました。(全2回の1回目/#2へ続く)

 

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『なつぞら』天陽くんの奥さん・靖枝役を演じることになって……

――舞台に映画にドラマにと引っ張りだこの大原さんですが、今年は『なつぞら』での出演が話題になりました。主人公・なつ(広瀬すず)の幼なじみである天陽(吉沢亮)の妻・靖枝という役どころでしたが、出演が決定した瞬間はどうでしたか?

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大原 普段から仲良くしている俳優さんたちがたくさん出演する作品でもあって、私も一視聴者として放送を楽しみに、予告動画とかも見ていたんです。そしたら「天陽君の奥さん役で……」というお話が来て、思わず「えっ!? 天陽くんと結婚するのってなっちゃんじゃないの!?」って(笑)。それぐらいびっくりしました。 

――もう『なつぞら』の予告動画も発表されていたんですか。

大原 発表されていましたね。しかもすずちゃんとは彼女がヒロインに決定した段階から連絡をとりあっていて、「朝ドラヒロインか~、おめでとう!」なんて言っていたんです。記念すべき100作目ですし、やっぱり親友の朝ドラ主演作に私も参加させていただけるのが嬉しかったです。

 

――広瀬すずさんには出演決定はどのように報告されたんですか?

大原 それが! 私もすずに驚いてほしくて言うべき時を見計らっていたんですけど、ある日LINEで「聞いたよ」って……。「あれ? 私言いたかったんだけどな……」ってなったんです(笑)。でも「楽しみにしてる」と言ってくれましたね。

――普段はどんなお話をされるんですか?

大原 とにかくすずとは食べ物の好みがすごく合うので「お肉食べに行こうよ!」って、よく2人でご飯に行きます。年齢はすずの方が年下ですけど、「今こういうことで行き詰ってるんだよね」とかお互い相談し合ったりします。それこそ、今度すずが舞台に挑戦するんですけど「舞台と映像って全く違うし、難しいね」って。他愛のない話から仕事のことまで何でも話せる親友です。

監督から「なっちゃんとは真逆で演じてほしい」

――大原さんが演じる靖枝は、常に顔が泥だらけで家族のために一生懸命な姿が印象的です。『なつぞら』の中では登場シーンは決して多くはありませんでしたが、確かな存在感がありました。

大原 靖枝さんにはモデルの方がいらっしゃるんですよね。だから監督とも話していくうちに、どんどん最初は意識していなかった重みを感じるようになりました。旦那さんの絵を大切に守って、その素晴らしさを多くの人に伝えた彼女の人生があったからこそ、私がこうして靖枝役を演じることができたんだなと。

 

――演じる上で気を付けたことはありますか?

大原 監督からは「なっちゃんとは真逆で演じてほしい」と言われたんです。その時に、すごく明るくて外見から意志の強さが出ているなっちゃんとは対照的に、靖枝は一見弱々しくも見えるけど実は内に強さを秘めているタイプなんじゃないかなと思ったんです。同じ熱さだけどタイプが真逆でもある“芯の強さ”を演じるよう、意識していました。