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正義と公正を求める学生たち

 同じ日、延世大学、高麗大学などの大学生が主催する「反・曺国集会」も開催された。日が傾いた18時半ごろ、光化門広場の喧噪から車で15分ほど離れた旧ソウル大跡地であるマロニエ公園では、軽快な音楽とともに「青年よ、祖国(※韓国語で曺国〔チョグク〕と同じ発音)を改革せよ」と書かれたトレーラーのステージに上がった学生たちが、曺国氏の聴聞会での様子やSNSへの投稿を、コミカルな動画にまとめて映しだした。学生約200人を含む500人ほどが参加する集会は、まるでライブ会場のような盛り上がりだ。

さながらライブのような盛り上がりをみせる学生デモ ©文藝春秋

 印象的なのは、「曺国を罷免しろ」という声は上がるものの、「文在寅」という名前がほとんど聞こえないこと。集会に来ていた20代後半の女性3人組の1人、塾講師の女性が語る。

「曺国のSNSを動画にしているのも、彼がかつてSNSで我々に向かって正義を訴えていたのに、彼自身が公正でないことをして、若者を裏切ったからです。光化門のデモは『自由民主主義を守れ!』といっていますが、こちらでは『正義』や『公正』、いってみれば『あるべきかたちであること』を主張しているだけなんです」

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学生たちのステージには「青年よ、祖国(チョグク)を改革せよ」の文字が ©文藝春秋

 曺国の罷免が目的という集会趣旨を反映してか、文在寅大統領自身は「『任命権者』は曺国を罷免してお詫びをしろ!」と宣言文に読み上げられる形で登場。といっても、文在寅が支持されているわけではない。先ほどの女性が続ける。

「文在寅政権になって、徴用工に慰安婦、ホワイト国にGSOMIAと韓日関係がギクシャクしているけど、あれも政権が持っている理念のために行っているだけで、反日感情を選挙に利用しようと思っていることが見え透いています。私は塾講師をしていますが、小学校や中学校の先生も、生徒の親も、輸出規制問題などを取り上げて日本を悪い国として教えている影響で、生徒たちまで『日本には行きたくない』と言っていて、衝撃を受けました。本当にひどいです」

牢屋に入れられるチョグクのコラージュ ©文藝春秋