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 中川家さんって、台本は箇条書き10行程度なんです。練習しすぎはあまりよくないというか、用意した台詞よりも面白い言葉がでてくるかもしれないのに、覚えすぎるとつい元の台詞を追っかけてしまうんですよ。

©杉山秀樹/文藝春秋

 たとえば、U字工事は生真面目なんで、一緒に営業行って15分のネタの時間もらうと、舞台袖で益子(卓郎)君が全部のネタに、秒数まで割り当てたメモを作っている。

「益子君が~:1分」

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「ごめんねごめんね~:0.5分」

 と。だから、僕がそのメモに「ち○こ:5分」とか書き込んであげている(笑)。あそこまでできるのはすごいけど、やり過ぎるとシーンがぶつ切りになる。

「警視庁・捜査一課長」(テレビ朝日系)という連続ドラマに出演するようになってからは、余計にそう思いますね。ドラマに関しては素人ですから、怒られないように完璧に覚えて現場に行くんですが、そうすると棒読みになるんですよ。主演の内藤剛志さんに相談すると、「流れが分かっていて、気持ちさえあれば、別にセリフ通り言わなくても、そう聞こえる」と。漫才も同じだと思います。

『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』(集英社新書)

――女性芸人がランキングでは弱い印象があります。

 女性といえば、清水ミチコさんがどうして入らないのかと思うんですよ。そのあたりは「好きな芸人」と「好きな女性芸人」は、別だと思われているのかも知れません。人気のガンバレルーヤなどは、ネタも面白かったですよ。それなのに、ネタの評価をしないで、2人のキャラクターだけをテレビで取り上げて消費されているというか。彼女たちをM-1で見たいと思いますよ。タレント化してしまうのはもったいない。ほかの女性芸人でもハリセンボンのネタも面白かったし、本人たちの意向もあるにせよ、もうちょっとネタをみせてもらいたいですね。