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「米国と英国は信頼を失った。日本はどうする?」『帳簿の世界史』著者が語る“JAPAN”の生き残り術

ジェイコブ・ソール独占インタビュー #1

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世界で信頼されている“日本ブランド”の強さ

 一方、日本は私にとっても非常に興味深い国です。「日本」というブランドに対する信頼度は高く、世界でも特異な存在だと言えます。自動車の世界でもっとも信頼されているレクサスは、その象徴でしょう。

トヨタのショールーム ©iStock.com

 たとえば道路環境が劣悪な中東では、トヨタ1台に対してトラック3台分の価値がついています。日本には高度なテクノロジーに加え、デザイン性という文化・歴史の深さもある点が素晴らしいですね。

もっと女性を活用しなければならない

 ただ、日本の「バランス・シート」からはっきりと読み取れるのは、日本が女性を活用できていないという現状です。それは、どの指標を見ても明らかです。役職も給料も、あらゆる指標が「性別」できっぱりと分かれてしまっているのです。

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 世界的に見て、日本ほどの先進国も、民主主義国も、そして平等が担保されている社会もないでしょう。さらに、日本は政府も比較的安定しています。ところが、これほどの社会であっても「女性」という死角を持っているのです。

©文藝春秋

「日本」がこれからも世界に信頼されるブランドであり続けられるか。それは、今後の“女性活用”の成否に懸かっていると、私は考えています。

#2へ続く)

Jacob Soll:1968年ウィスコンシン州マディソン生まれ。南カリフォルニア大学教授。歴史学と会計学を専門とし、これまでの政治歴史学者たちが見落としてきた重要な要素に注目して、近代政治や近代国家の起源を探る研究を行なう。

帳簿の世界史 (文春文庫 S 22-1)

ジェイコブ・ソール,村井 章子(翻訳)

文藝春秋

2018年4月10日 発売

「米国と英国は信頼を失った。日本はどうする?」『帳簿の世界史』著者が語る“JAPAN”の生き残り術

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