急落した支持率に危機感
曺国(チョ・グク)の突然の辞任については、驚いたというより、今までこれだけ疑惑が報じられていたのに、よく図太く辞任せずにいたなというのが率直な感想です。通常の神経では到底耐えられないことです。
今日になって辞任を発表した背景には、大きく2つの理由があると思います。
1つ目は、文在寅政権側の姿勢の変化です。曺国の疑惑は次々と現れて、消えていくどころか膨らむばかりでした。それでも法相の立場にこだわり続けたのは、曺国の個人的な権力欲というよりも、政権側の意向が強かったのだと思います。
その文政権の姿勢が変わったのは、世論調査の結果によるところが大きい。このところ、文政権の支持率はいよいよ30%台を記録するようになりました。さらに衝撃だったのは10月14日に発表された「リアルメーター」という調査会社の数字です。他の世論調査よりも10%近く良い数字がでるため、明らかに政権寄りだと見られているこのリアルメーターですが、この日に出した支持率が41.4%まで低下していたのです。
この41.4%という数字は、文在寅が大統領選で獲得した得票率である41.1%という数字に肉薄するものです。これまでどれだけ支持率が低下しても、自分を大統領に押し上げてくれた支持層の割合は割り込まなかった。その支持層がついに崩壊し始めたという調査結果に、文大統領は衝撃を受けたのでしょう。
加えて、「反・文在寅」デモも大きく影響しています。保守派のデモとして「過去最大」と言われる数十万人を集めた10月3日のデモをはじめ、あの勢いは尋常でない勢いです。これから曺国の妻の裁判も始まりますし、捜査も続いていく状況下では、保守派の勢いは増すばかりだと考えたのでしょう。