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「1つのチームになった、強くなったね」 海外出身初のラグビー日本代表になったあの男が、スコットランド戦について語ったこと

「ONE TEAM」を象徴する一戦に

2019/10/14
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「15人全員が倒れてもすぐに立ち上がって、プレーしている」

「私は、来日してから日本人の真面目さを知りました。ラグビーにも日本人の真面目さが生きている。いまの日本代表の選手は、15人全員が倒れてもすぐに立ち上がってずっとプレーしているイメージ。だから2人がかりでダブルタックルにいっても、ディフェンスに穴が空かないし、サポートが早い。外国人選手も日本代表のラグビーから学んでいるんだと思いますよ。私もそうでしたから」

©JMPA

 ノフォムリがソロバンを学ぶために来日したのは、1980年。日本びいきだったトンガ国王が、ソロバン留学生として白羽の矢を立てた1人がノフォムリだったのだ。しかし若者がソロバンだけではストレスが溜まるだろうから、と大東文化大学で子どものころから慣れ親しんだラグビーを続けた。

 食文化の違いやホームシック、体育会系独特の上下関係に苦しんだ。ときには上級生たちとの衝突を経験しながらも、彼は日本ラグビーに、そして日本の暮らしに順応していった。

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 ノフォムリは、1985年のフランス遠征で日本代表に初選出される。彼は、桜のジャージに袖を通した思いをこう振り返っていた。

ノフォムリ・タウモエフォラウ氏 ©山川徹

「日本代表は日本でラグビーをするすべての人の憧れでしょう。この国の人たちが、私を信頼して代表に呼んでくれたんだと感じて、本当にうれしかった。トンガ人がトンガ代表になるのは普通ですが、トンガ人が日本代表のジャージを着るのは特別なことですから。日本のために必死にプレーしようと思いました」