1989年、日本代表がスコットランドに初勝利した立役者
30年前、日本代表がスコットランドからあげた初金星の立役者の1人がノフォムリだった。
1989年5月、スコットランド代表を秩父宮ラグビー場に迎えた。ノフォムリは「当時のスコットランドは中心選手が来日していなかったし、暑くて本調子じゃなかったから勝つことができた」と控えめに話すが、日本ラグビー史に残るゲームとなる。
勝負を決定付けるシーンが訪れたのは後半28分。
ノフォムリのあとを追って第2期のソロバン留学生として来日したシナリ・ラトゥ(現ラトゥ志南利)が、ディフェンスを破ると、ボールは大八木淳史から堀越正巳、平尾誠二を経て、朽木英次へ。ラストパスを受けたノフォムリが豪快なトライを奪う。
ラトゥが攻撃の起点となり、日本ラグビーを支えた大八木、堀越、平尾、朽木がつなぎ、ノフォムリが決める。一連のプレーが、いまの日本代表が目指すONE TEAMの原点にも思える。
スコットランド戦をテレビ観戦したノフォムリが語ったこと
その30年後――。ノフォムリは、スコットランド戦を群馬県にある自宅でテレビ観戦した。来日してもうすぐ40年になる。後輩たちのプレー1つ1つに、様々な思いがよみがえってきたという。
「昔、一緒に戦った仲間たちを思い出しました。平尾さんも洞口(孝治)さんも、もう亡くなってしまったけど……。いまの日本代表は、1つのチームになった。強くなったね。本当にうれしくってね、泣きそうになったよ」
ラグビー日本代表は、異なるルーツを持つ選手たちとともに戦ってきた歴史を持つ。スコットランドを破り、初の決勝トーナメントへ。ONE TEAMには、過去の選手たちがつないできた思いが、受け継がれているのである。