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「1つのチームになった、強くなったね」 海外出身初のラグビー日本代表になったあの男が、スコットランド戦について語ったこと

「ONE TEAM」を象徴する一戦に

2019/10/14

 ONE TEAM――。「1つのチームに」が、ラグビー日本代表が掲げる目標である。

 10月13日、ラグビーW杯予選プール最終戦。決勝トーナメント初進出をかけた日本とスコットランドとの一戦は、まさにONE TEAMを象徴するゲームとなった。

©AFP/AFLO

 前半21分、負傷した韓国出身の具智元がピッチを去る。ファンの心を打ったのは、彼が流した涙である。与えられた役割を果たし切れなかった悔しさと、日本代表に対する強い愛情を感じさせたのだ。

負傷のため、ピッチを去る具智元選手 ©AFP/AFLO

 その4分後、チームの信頼がつないだトライが生まれる。日本ラグビーを牽引してきた堀江翔太がディフェンスを1人交わし、タックルを受けながらオーストラリア出身のジェームス・ムーアにオフロードパスを放る。ボールは、ムーアを経て、走り込んできたニュージーランド出身のウィリアム・トゥポウへ。ディフェンスを引きつけたトゥポウのラストパスが稲垣啓太に託される。稲垣は、相手タックルをものともせず、インゴールに飛び込んで勝ち越しのトライを決めた。

リザーブメンバーである中島イシレリが喜びを爆発

 印象的だったのが、トライ後のシーンだ。

 リザーブメンバーであるトンガ出身の中島イシレリが、子どもがはしゃぐように、バンザイをしながら飛び上がって喜びを爆発させる。チームメイトを祝福する姿に、ONE TEAMの結束を見た思いがした。

トンガ出身・中島イシレリ選手 ©AP/AFLO

 福岡堅樹と、南アフリカ生まれの松島幸太朗の2人が走り、試合終盤にはスコットランドがくり返す猛攻をニュージーランド出身のリーチマイケル、トンプソンルーク、サモア出身のラファエレティモシー、そして中村亮土らのタックルで耐えしのぐ……。多様なルーツを持つ選手たちが1つになって勝ち取った決勝トーナメント進出だった。

 それまでスコットランドと日本の対戦成績は、1勝10敗。30年ぶりにあげた2つ目の勝利は、1人のパイオニアの言葉を思い出させた。

 海外出身選手として、はじめて日本代表となったトンガ出身のノフォムリ・タウモエフォラウである。