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2019/10/29

人糞が入った容器を片手に“トイレ不足”を訴えたビル・ゲイツ

 インドのトイレに熱い眼差しを向けている人は、意外な所にもう1人いる。

 マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツだ。2018年11月に北京で開かれた、トイレの未来に関する国際フォーラムに出席して、人糞が入った容器を片手に登壇し、世界中を驚かせた。発展途上国が抱えるトイレ不足の問題に目を向けるべきだと訴え、「容器の中の人糞は、200兆のロタウイルス、200億の赤痢菌、10万の寄生蠕虫(ぜんちゅう)の卵の住処になっている」と説明し、それらの適切な処理が必要であることを訴えた。

©iStock.com

下水道は歴史が作り出した大きな発明

 ビル・ゲイツはモディ首相とも会談し、自らインドのトイレを訪問して、そこで見たトイレの現実を動画で公開している。ITの世界で成功を収めたビル・ゲイツが、なぜトイレに注目するのだろうか。ゲイツはいう。

「下水道は歴史が作り出した大きな発明だった。廃棄物が有害な病原体を環境に放出しないようにした。下水道がない場合は、人々を危険からどう守ればよいのか。答えは、自身で廃棄物を処分するトイレしかない」

 ビル・ゲイツは、人糞から抽出し、ろ過した水を飲んで見せたこともある。人糞は、適切に処理すれば、燃料にもなるし、水分を蒸発させて再利用することもできるというのだ。「危険なもの」「汚いもの」「穢れたもの」を最新の技術によって区別、分離できるようになれば、これまで常識と思っていたことや無意識の中にある排泄物の概念を、劇的に変える「イノベーション」と呼べるものになるのかもしれない。

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