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『アラジン』から『ジェミニマン』でこれまでの自分と決別か?

 あくまで憶測というか妄想の域だが、それらを踏まえての『アラジン』の“青いウィル・スミス”だったのではないだろうか。ジーニーに扮したウィルには、まったくもって“俺様”然としたものがない。なにより本人が楽しそうに演じていて、観ているこちらも嬉しくなってしまった。おまけにラップまで披露しており、そのにぎやかなノリは俳優業以前の本業であった、ヒップホップ・デュオ“DJ・ジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンス”の片割れだった頃を彷彿とさせるもの。スターの自分と決別するだけでなく、初心に戻ろうとしているのだともヒシヒシと感じた。

© 2019 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 そして『ジェミニマン』。23歳のクローン“ジュニア”のイキりまくった姿は、まさにブイブイだった頃のウィルそのもの。そんな彼にウィル=ヘンリーは、壮絶な戦いを重ねながらも自分と同じ血にまみれた暗殺者になるなと必死に諭そうとする。勢い余って「おまえ、童貞だろ?」と20代男子にとっては心を抉られるような質問もぶつけてしまうが、その姿は過去の自分に現在の自分のようにだけはなるなと語りかけているようで、えらくグッときてしまうのである。

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 といいつつ、来年公開の『バッドボーイズ フォー・ライフ』(20)では3度ラグジュアリー刑事を演じている。なんだかんだで、“強くてカッコいい俺様”に戻るのかよとザワザワしている。

INFORMATION

『ジェミニマン』
10月25日(金) 全国ロードショー
監督:アン・リー
出演:ウィル・スミス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、クライブ・オーウェン、ベネディクト・ウォン
配給:東和ピクチャーズ
© 2019 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
https://geminiman.jp/