タピオカブームが続いている。今年のハロウィンでは、タピオカドリンクそのものをコスプレする若者が続出するほどのフィーバーぶりだ。

 

「週刊文春デジタル」では、タピオカドリンク店の1つに潜入取材。移動販売業者のA氏(40代・男性)が取材で明かしたのは、漬けマグロのようにタピオカをガムシロップに浸して、賞味期限が切れても再利用する禁断の「秘技」だった。

 

 今回、A氏のインタビュー動画の初公開する。再掲載するA氏を紹介した記事とともにご覧ください。

初出:文春オンライン(2019年7月23日)

タピオカドリンクを持って歩く学生(本文とは関係ありません) ©共同通信社

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 ブーム真っ只中のタピオカドリンク。都市部では専門店が乱立しているが、取材班はその一つに潜入。そこで見えた驚きの舞台裏とは――。

 都内のとあるターミナル駅に近い繁華街。夜はバーとして営業している店舗を間借りして、大きな鍋を使って、黙々と大量のタピオカを煮る男性がいた。キッチンカーを使って、都内各所でタピオカドリンクを売っている移動販売業者のA氏(40代・男性)だ。

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「タピオカは、むちゃくちゃ稼げますね」

 A氏がタピオカドリンクの販売を始めたのは、この春から。今年の初めに、友人が一日1000杯のタピオカミルクティーを売り上げたと聞いたことがきっかけだった。

「タピオカは、むちゃくちゃ稼げますね。都内はライバルが増えて売れにくくなっていて、新宿では一日50杯程度。それで6月から埼玉北部を攻めてみたら、バカ売れして、日に300杯くらい売れています。とにかく原価が安い。一杯あたりタピオカが10~20円、紅茶は茶葉からとっても5~10円、それにガムシロップ、牛乳、容器やストローなどを計算に入れても、原価は20%くらいですから」

 一杯500円ほどで販売しているので、一日の売上は300杯なら15万円、利益は人件費を引いても一日10万円前後になる。現在タピオカの値段は高騰し、仕入れ値が3倍になったとの報道もあったが、A氏の仕入れ先は意外なものだった。

「大手のタピオカチェーン店のスタッフです。要は”横流し”ですね。ブームでお店は大混雑なのに、スタッフは安い賃金でコキ使われている。スタッフも『横流しは福利厚生みたいなもの』と割り切っているようです。タピオカは確かに高騰していて、ネットでは1キロあたり3000円くらいで取引されていますが、そのスタッフからキロ700円ほどの安価で手に入れています」

 A氏はバーの店舗で、タピオカを芯がなくなるまで煮立たせ、よく蒸らした後、手際よくザルに移して、タッパーに入れた。

 そのタッパーを、車に乗せて販売する土地に向かうのだが、驚いたのはその保管法。タピオカの入ったタッパーに、ジャブジャブとガムシロップを入れ始めた。まるで漬けマグロのように、タプタプにタピオカを浸している。

「ガムシロが大事なんです。タピオカはこれで蘇ります」

 このガムシロが“魔法のタピオカ”を生み出すという。