映画『真白(ましろ)の恋』は、富山の小さな町で暮らす渋谷真白がフリーカメラマンの油井(ゆい)に恋心を抱く物語だが、その成り行きに、表題のような素朴さはない。軽度の知的障がいをもつ真白の思いを、家族や油井はどう受け止めるのか、その姿も描いているからだ。
主演は、佐藤みゆきさん。
「初主演、そしてどう演じるか。大きなプレッシャーでした。障がいがある方の施設で働かせていただいたり、職員の方とお話をして気づかされたのは、『個性をもつひとりの人間』ということ。真白の役作りにあたり、口数は少ないけど、素直でユーモアがある可愛らしさを意識しました」
射水(いみず)市内の家屋には撮影用に真白の部屋が作られたが、佐藤さんは1日の撮影を終えてもそこに寝泊まりをした。
「おかげでずっと真白であり続けることができました。この作品で、両親や油井、真白と、どの人物に共感するかは分かれるかもしれません。ただ、施設で働く方々やご家族が、『間違っているから見ないでほしい』というものにしてはいけない、そう心掛けて臨ませていただきました」
本作は「多様性の時代」と呼ばれる社会の一場面が描かれている。それは何か。考えるきっかけにもなるはずだ。
『真白の恋』
2月25日(土)よりアップリンク渋谷/他県も順次公開中
http://mashironokoi.com/