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石田さんがチャーミングに演じてくださった

――初の映画化、原作者としていかがでしたか。

平野 僕の小説は長いものが多いし、情報量が普通の小説の4倍くらいある。これまで映画化が実現しなかったのは、色々理由がありますけど、2時間では収まりきらないというのも少なからずあった。内容的にも難しいですし。「マチネの終わりに」もダイジェストにならざるを得なかったけれど、全体的なテイストをよく掴んでくださった。映画は、映画を作る方々の解釈、イマジネーションで作られるものです。西谷監督も俳優さんたちも、原作をリスペクトしてくださって感謝しています。

――石田ゆり子さんは、早くから原作を読まれていたそうですね。

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平野 ご自身のインスタグラムで感想を書かれたあと、売り上げが急増しました(笑)。それだけでも光栄だったのに、出演までしてくださった。洋子は仕事のできる理知的な女性ですが、石田さんが冷たい感じではなく、非常にチャーミングに演じてくださって、うれしかったです。

 

福山さんはフォトショップ要らず

――そして主演は福山雅治さん。いかがでしたか。

平野 いくつも映画化のお話をいただいた中で、東宝から福山さんを主演で、といわれたことが、決め手になりました。福山さんはミュージシャンなので、音楽家の蒔野を深く理解してくださるだろうと。

 クラシックギターは、勝手が違うところもあったと思いますが、すごい努力で練習された。その取り組みの姿勢には、感銘を受けました。僕より年上なのに、何かと気を遣ってくださるし、さすが、本物のスターは違うなあ、とお目にかかる度に感じ入ります。

――蒔野の失意の姿、みっともない姿もさらけ出してくださった。

平野 スランプのときの雰囲気も、すごく説得力がありましたね。でも、こんなこと改めて言うことでもないんですけど、福山さん、会うと、ほんとうにカッコいいんですよ!

 何回か食事をご一緒したんですが、スゴいですね。フォトショップ要らずですよ(笑)。取材のあと2ショット写真を撮ってもらったんですが、隣に並んだ自分をみて、なんか、嫌になりましたよ(笑)。

 

小説のアイディアはどこから生まれるのか

 参加者からも次々に質問が飛び出した。

――クラシックギターで1曲演奏することになったら何を弾きますか?

平野 「カヴァティーナ」をちょっと前に練習したんですよ。まあ、自分で勝手にですけど。ロバート・デ・ニーロ主演の名作映画「ディア・ハンター」のテーマ曲です。戦場でのロシアン・ルーレットに象徴される狂気の世界と、美しい音楽との対照が、効果的でした。