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一番良かったサービスは?

「私が利用したサービスの中では『性感マッサージ』のお店が一番良かったですね。これはアロマオイルなどによるボディトリートメント、ハンドや大人のおもちゃを利用した性感マッサージで、本番行為は売春防止法により禁止されています。担当してくれた男性は、女性のことをよく勉強していると思いました。『風俗』といっても、女性はメンタリティーのケアを求めるんです。癒されたいから利用する。だから、話を聞いてくれる、慰めてくれる、ということが求められる。失恋で傷心したことが利用のきっかけの人もいれば、職場の人や夫からモラハラを受けて心が疲弊して、という人もいます。こういったサービスを利用することで、自己承認欲求が満たされて、自尊心が回復するんです。金銭の対価としてのサービスであることへの引け目はあまりないですね」

 

 女性向け風俗店が徐々に広まってきたのは、インターネットの普及によるところが大きいという。

「ネットで検索すると、いろいろなお店を調べられます。良い時代になってきたと思います。性に興味を持つのは自然なこと。20、30代の利用者が半分を占めているそうで、性的なことに慣れておきたいという人もいるし、恋愛でブランクがあり、サービスを利用することで自信を取り戻し、彼氏ができた、という人もいるそうです。もちろん、私自身がそうですが、中高年で、夫とはそういうことはもうなくて、でも……という人も。用途は人それぞれ。ことさらに勧めているわけではなく、何かで疲れたり困ったりして、癒されたいな、と思った時、こういう手段もある、ということを知っておくといいんじゃないかな、と思います。日本は海外に比べて、カウンセリングの文化が全く広まっていません。悩みを話せる場が少ない、閉鎖性が高い社会です。カウンセリングが根付くまでにあと30年くらいはかかるでしょう。だからこそ、自分のストレスに自覚的になり、様々なセラピーの選択肢を知っておき、自分の身は自分で守ることが大切だと思います」

すずきせいこ/女性生活カウンセラー。大学在学中より依存症患者の会などへボランティアとして参加。その後起業。女性の独立支援や女性をテーマに映像プロデューサーとしても活動。Instagramでは「instaシネマ~女図鑑~」を配信中。

男を買ってみた。 -癒やしのメソッド-

鈴木 セイ子

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2019年9月19日 発売