それでもバラエティ番組に出続けたのはなぜ?
―― どれだけ批判されてもバラエティ番組に出続けたのは、どんな思いがあったんですか?
田嶋 それはやっぱり、フェミニズムの考え方を広めたかったからです。ライフアーティストの駒尺喜美さんから「テレビは拡声器だよ」って言われたの。『TVタックル』だと、視聴率が20%を超えたこともあります。NHKで真面目にフェミニズムを語っても、誰も見ないですよ。当時は出演者も原稿を読むだけだから、言葉も自分の言葉になってなくて、既成の言葉でしょ。私でさえ退屈しちゃう。
―― バラエティ番組はたくさんの人が見てますから、賛否があっても考えが広く届きますよね。その一方で、演出上、あえて対立をあおるようなこともあります。
田嶋 今から思えば、視聴率を取るために、私を邪魔して怒らせたのかもね(笑)。相手に変なおじさんばっかり連れてくるし、でも、その頃、女の人が人前で怒るなんて、考えられなかったんだよね、「女らしくない」って。だから、私が怒ったり、きつくなったりしてると、ほんとに女の評判が下がるわけです。誰も私のことを女と思ってなかったかもしれないけど、それはすごくイヤでしたね。
―― 私が記憶に残ってるのは、『TVタックル』で「女の敵は女」というテーマで女同士を討論させようとした回です。はじまってすぐに先生が「こういうのはやりたくない」と言って、その構図を拒否したのを覚えています。
田嶋 ほんと? そうね、女の人はほとんどがフェミニストになりたくなかったんですよ。男社会に嫌われたら、女の人は生きていけないから。心の中に不満を抱えていても、構造としての女性差別があるなんて思えないし、思いたくもない。だから、私が言いたい放題言うと、不安になるんでしょうね。男たちは、そこに目をつけて、女同士を戦わせようとする。あれは闘犬と同じよねえ。すごく卑怯だと思う。