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地域の中に“避難できる高台地”がない

 土屋氏は、江東5区の危険性について、こう解説する。

「江東5区は、約262万人もの人口を擁しながら、大部分が満潮位以下のゼロメートル地帯で、地域の中に避難できる高台地がありません。生き残るには、この地域の外に避難するしかないのです。

隅田川(手前)と荒川(左奥) ©AFLO

 ハザードマップの被害想定では、浸水想定区域は江東5区のほぼ全域に及び、浸水割合は9割を超えることが分かりました。この“水没地帯”には、実に、5区の総人口の95%を超える約250万人(夜間人口)が暮らしています。

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 想定される浸水の深さは、JR総武線平井駅北口周辺で最大約10メートルにも達します。また、2週間以上にわたり、水が引かない地域があることも分かりました。

 結局、江東5区の住民に残された道は、安全な時間帯に、事前に広域避難を行うしかないのです」

出典:「文藝春秋」12月号

 決して絵空事ではない『東京沈没』。江東5区の地形的脆弱性や、1947年に死者・行方不明者1930人を出したカスリーン台風での広域避難の前例、また江東5区の水害ハザードマップの詳細は、「文藝春秋」12月号および「文藝春秋 電子版」の「東京沈没『天気の子』が現実になる日」に全文を掲載している。

「自分や大切な家族の命を守るため、一人でも多くの人に災害への危機感を持っていただきたい」と、土屋さんは切実に訴えた。

文藝春秋

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東京沈没『天気の子』が現実になる日