LINEは2016年に格安スマホ「LINEモバイル」を始めたが、2018年に自社単独での経営を断念。ソフトバンクに51%出資してもらうという救済策を選んだ。結果、表向きは「LINEモバイル」を名乗ってはいるが、現在ではソフトバンクのサブブランドとなっている。
ソフトバンクの携帯電話事業は、「ソフトバンク」と、ヤフーのスマホという位置づけの「ワイモバイル」、さらに「LINEモバイル」という3つのブランドを抱えているのだ。特にワイモバイルとLINEモバイルはともに「格安スマホ」のジャンルで競合している。
ヤフーは店舗、LINEはネット
この売り分けについて、ソフトバンクの宮内謙社長は「ソフトバンクはiPhoneを中心とした大容量プラン、ワイモバイル(ヤフー)はショップで接客して販売し、LINEモバイルはネットで契約や購入できる人を対象にしていく」と筆者に語ったことがあった。
今回の経営統合はこの「ヤフーは店舗というリアルの世界、LINEはネットの世界に強い」という関係性で見るとわかりやすい。
例えば、いま盛り上がりを見せているQRコード決済。ソフトバンクが手掛けるPayPayは100億円規模のキャンペーンばかりに目が行くが、実は全国20ヶ所以上に営業拠点を設け、地道に加盟店開拓をしている。この営業力が、他のQRコード決済サービスには真似のできない強みなのだ。実際、国内では150万ヶ所で決済が可能だ。地方でも「こんな小さなお店でPayPayだけは使えるのか」と驚かされることも多い。
思い起こせば、ソフトバンクがADSL事業「Yahoo! BB」を始めた時も、街中にパラソル部隊が出現し、街ゆく人にモデムを無料で配りまくっていた。
イメージこそ最先端なIT企業のように見えるソフトバンクだが、実態は足と汗で稼ぐゴリゴリの営業の会社でしかないのだ。
一方、LINEがメインとしているユーザーはネットを使いこなしている人となる。
LINEの決済サービスであるLINE Payは、ユーザー間で割り勘などができる機能が魅力だったりする。もともと、メッセンジャーアプリとして普及しているので、飲み会の約束をLINEでして、集合時間に遅れそうになったらLINE、飲み終わった後の割り勘もLINEでできるというのが最大の利便性なわけだ。他社のQRコード決済も割り勘機能を載せてきてはいるが、LINEほど多くの人に普及しておらず、「みんなでサクッと割り勘」にはなりにくい。
また、QRコード決済の手数料は微々たるものなので、それだけではビジネスとして絶対に儲からないと言われている。
では、QRコード決済ビジネスは何で稼いでいくのか。