11月10日に行われた、天皇陛下の即位を祝うパレード「祝賀御列の儀」で、雅子さまは時折涙ぐまれる場面があった。テレビや新聞なども雅子さまの涙について報じ、国民との近さを感じさせるエピソードとして、好意的な取り上げ方が多かったように思う。

天皇皇后両陛下 ©文藝春秋

 雅子さまは祝田橋交差点付近から目を潤ませていらっしゃったように見え、国会議事堂正門前では目頭を押さえる仕草を見せられた。勤務先だった外務省の方面をご覧になっていたのかもしれない。

 

「生まれてきて本当にありがとう」

 皇室に入られてから、雅子さまが涙を見せられる場面は何度かあった。その中の一つとして、2002年4月、長女・愛子さまご誕生から4カ月後の記者会見でのご様子を思い出す人も多いのではないだろうか。関連質問では、記者とこのようなやり取りがあった。

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2002年4月2日の記者会見 宮内庁提供

――第一問の関連で妃殿下に伺います。大変不躾でデリカシーを欠いた質問であるのかもしれませんけれども、妃殿下は生まれてきてありがとうという気持ちで胸が一杯になりましたとおっしゃった時に、私、涙ぐまれたように拝見いたしたんですけれども、その胸中にですね、どんな思いがおありだったのかと、難しい質問ですが。

「難しいですね、やはり。言葉のとおり、やっぱりその生まれてきて本当にありがとうっていう気持ちですね。やっぱり非常に、なんて言ったらいいんでしょうね。胸が一杯になるような、そういった体験かしらと思いますけれども。すみません、母親になって涙もろくなって」