Googleが2020年に米国にて銀行口座サービスを開始することが明らかになりました。Amazonも銀行業界参入を表明していますが、金融とITとの融合が加速しています。政府も規制緩和を検討するなどフィンテックの広がりは社会をどのように変えようとしているのでしょうか。
※FinTech(フィンテック):金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動き

「いま」IT企業が金融サービスに乗り出すのはなぜか?

 Appleがクレジットカードサービスを開始、Facebookも独自決済サービスを導入するなど、IT企業の金融サービスへの広がりが加速しています。Googleはシティグループなどの金融機関と提携をして、口座開設、引き落とし、振り込みなどの他に「Google Pay」決済も専用口座を経由して行えるようにする予定です。同様の金融サービスはAmazonも計画をしています。

 なぜ、今、IT企業は金融サービスに手を広げようとしているのでしょうか。

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 金融サービスを行うことによって、更なる収益と顧客拡大を狙うことができます。また、口座利用データという貴重な情報も手に入れることができます。もちろんデータは慎重に扱っていただきたいものですが、AIとビッグデータの活用によって、より満足度の高いサービスを自動で提供することが可能になりそうです。消費者側も一つのアプリで公共料金の支払いから、買い物から、割り勘まで日常生活の多くがワンストップででき、ロボアドバイザーによる投資アドバイスや海外旅行保険の購入なども比較をして購入できるなどの未来が想像できます。

「相手の電話番号のみで送金」金融機関のIT化も急激に進んでいる

 金融機関のIT化も急激に進んでいます。例えば、シンガポールのDBS銀行は「World’s best digital bank」の称号を金融専門情報誌『ユーロマネー』から2016年、2018年と受賞しているほどデジタルに力を入れています。

 実際に私もこの銀行を利用していますが、Payサービスなど非常に便利です。アプリを起動すればQRコードで決済ができ、銀行口座から引き落としになります。割り勘サービスも、あらかじめIDなどを登録しておけば、相手の電話番号のみで送金ができます。現金を忘れて出かけても携帯さえ持っていればなんとかなるのです。

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 また、シンガポールにはAIロボットが窓口で迎えてくれる保険会社などが増えています。AIロボットは、顧客の相談に応じられるようにプログラミングされていて、顧客にセールスも行います。AIロボットは記憶の仕組みが作り込まれているので顧客の名前や情報なども忘れることはありません。顧客情報をログにして完璧に保管することもできますし、優秀なセールスの知識や経験などをロボットにコピーさせることもできるかもしれません。