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雅子さま フリルで表現された「強さ」と、左側へ手を振り続けられた「アマチュア精神」

2019/11/20
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NHKの中継で、何度も伝えられた「自然体」

 パレード当日に話を戻す。午後3時、陛下と雅子さまが皇居・宮殿「南車寄せ」に出てこられたが、出発までは少し時間がかかった。それからオープンカーが到着し、お二人が乗り込まれたが、そこからもすぐに出発とはならなかった。

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 車が到着までの間で、陛下が雅子さまに言葉をかけられた。雅子さまがうなずかれたが、そこでやり取りは終わった。次の「間」はもっと長かったので、お二人のやりとりがより具体的にわかった。

 この日のために作られたという行進曲「令和」が演奏されていた。陛下が雅子さまに話しかけ、うなずいた雅子さまが今度は短く言葉を返された。まだ車は出発しない。もう一度、陛下が雅子さまに声をかけ、しばらく会話が続いた。「優しい表情で、言葉を交わしていらっしゃいますね」。スタジオでアナウンサーが、そう言っていた。

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 その優しい表情から私が感じたのは、信頼し合う者同士が醸し出す穏やかな空気感だった。仕事に向かう前の同僚同士のようだと思った。これから「パレード」に臨むにあたっての方針を確認しあったのか、リラックスするために全く違う話をするのか、とにかく「頼れる同僚同士」の会話のようだと感じた。

 雅子さまは、陛下と同じ立ち位置だ。そう思った。フリルという主張するデザインを選び、着こなす雅子さま。自らの存在を、隠さない強さを受け止める陛下。対等な関係。だからこその空気感だった。

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 NHKの中継は、お二人のご様子を「自然体」と何度も伝えていた。お二人の「対等」な関係性がごく自然に伝わってくる、だからゲストが口々に「自然体」と言うのかな。そんなことを思った。