天皇皇后両陛下は、伊勢神宮ご参拝などのため11月21日から三重県を訪問される。「即位の礼」の締めくくりとして祝賀パレードに臨まれたご様子から、コラムニストの矢部万紀子さんは、雅子さまの「強さ」と「アマチュア精神」を感じたという。
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フリルで表現された、雅子さまの「強さ」
天皇陛下の即位に伴うパレード「祝賀御列の儀」をNHKで見た。午後3時から1時間の生中継は、視聴率が27.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったという。
雅子さまは、ローブデコルテの上にフリルのあしらわれたジャケットをお召しだった。秋の日差しにティアラが光り、雅子さまの笑顔も輝いていた。休むことなく手を振り続け、時に涙ぐまれた。陛下と会話をされる様子も、たくさん映った。
中継を見ながら、雅子さまについて二つのことを思った。一つは雅子さまの強さ、そしてもう一つは「アマチュア精神」についてだ。
雅子さまはフリルがお好みで、とてもよく似合う。10月22日の「饗宴の儀」でも、襟元がフリルのロングドレスをお召しだった。パレードでのジャケットは襟元に二重、三重のフリル、そこから徐々に小さくなり裾まで続く。そんな華やかなデザインだった。
平成の「即位の礼」で美智子さまは、パレードも饗宴の儀も「ケープ型」の装いで臨まれた。パレードではケープ型のジャケットを、饗宴の儀では足元まで届くケープ型の透ける素材を、それぞれドレスの上に重ねられていた。フリルとケープ、そこにお二人の「皇后」の違いが端的に表れていると思う。
ケープとは、身を包むものだ。身を隠すもの、とも言える。陛下と行動される時の美智子さまに、気配を消しているようだと感じることがあった。自ら主張をしない。主張しないことを主張する。そのような意志を読み取れるようなデザインで、実に美智子さまらしいと思う。
その点、フリルは強いデザインだ。華やかさのある分、似合う人を選ぶ。フリルに負けない強さがあって、初めて着こなすことができると思う。雅子さまは26年前、「結婚の儀」の後のパレードでもフリルのジャケットをお召しだった。デザインは森英恵さん。森さんはきっと、雅子さまの内なる強さを表現したのだと思う。