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中学受験で追い詰められる子供たち 努力家で高学歴な両親が陥る「教育虐待」のワナ

「頑張ればできる」を子に求める

source : 提携メディア

genre : ライフ, 教育, ライフスタイル

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エクセルで学習スケジュールを細かく管理

算数ドリル15分、理科の復習45分、国語の語句30分……。エクセルに1日の予定をぎっしり詰め込み、それを強制する父親がいる。中学受験の勉強に学習スケジュールを立てることは望ましいが、ここまで詳細なスケジュールは子供を憂鬱にさせる。やることを管理したがる父親の共通点は、やらせる量が多いこと、短い時間設定でいろいろなことをやらせたがること。前述のやらせすぎる母親と違うのは、それをこと細かく管理したがることだ。

だが、当然その通りにはできないし、無理に終わらせようとすれば、気持ちが焦り雑な勉強になる。雑になると、計算ミスが出る。そこで、丁寧な勉強を見直せればいいのだが、詰め込み型の父親は逆を走る。もっと速く解く練習をさせて、見直しの時間を作ろうとするのだ。

これは明らかにビジネスの発想で、小学生の子供に求めるものではない。不可能なスケジュールを立てておきながら、できない子供を叱る。これも教育虐待だ。

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子供は「遠い未来」のためには頑張れない

中学受験の勉強は3年を有する。大人からすると、たった3年なのだから、頑張れると思う。だが、入試が迫る6年生でも、幼い男の子なら来週のことくらいしか頑張ることができない。4年生なら今日のことで精一杯だ。

それは努力や気合が足りないのではない。小学生の子供は、大人のように、先を見通す力がまだ十分に備わっていないからだ。子供は遠い未来のために頑張ることができない。でも、少し頑張ればできそうと予測できることに対しては、頑張ることができる。これが中学受験で成績を伸ばしていく秘訣だ。

だから、スケジュールもあまり先まで立てないほうがいい。先々までやることが決められていると、子供はその時点でやる気をなくす。もしスケジュールを立てるのであれば、1週間でいい。その際、子供に自由裁量権を持たせることが大事だ。勉強時間を決めたら、必ず自由時間も決めさせる。スケジュールに無理を感じたら、その都度、子供と話し合い修正する。決めたことはできて当たり前と思わず、頑張っている努力を認めてあげてほしい。