子供を使って不安を解消しようとしていないか
中学受験をさせたがる親は、教育熱心な人が多い。また、自分自身、努力をして成果を上げてきた人も多い。そのため、「頑張れば夢は叶う」と思いがちだ。だが、冷静に過去を振り返ってみた時、果たしてそれは小学生の自分だったのだろうか。中学生や高校生の自分ではなかっただろうか。もしそれが小学生の時の話でなければ、参考にしないほうがいい。子供を見る時は、常に自分の小学生時代と、照らし合わせてほしい。
成長途中の小学生の子供には、できることが限られている。また、子供によって成熟度の差もある。そのため、努力だけでは叶わないことがある。頑張っても目標に届かないことを強要されること、子供の意志を背いて、親の考えやイメージを押しつけることは、親の不安感や自己満足をわが子に押しつけているだけにすぎない。
親である自分の未熟さを認めよう
子供がなんか元気ないな、親を見る目が険しくなっているな、と思ったら、教育虐待を疑ってみるべきだ。中学受験は子供がまだ幼いため、どうしても親のサポートが必要になる。そこで親はつい頑張ってしまうが、その頑張りの方向が間違っていないか、常に意識してほしい。
ちょっと私、やらせすぎているかもしれないな、さっききついことを言ってしまったな、と気づいたら、その都度子供に謝り、親である自分の未熟さも認めてほしい。そして、どんな小さなことでも頑張っている姿があれば、その努力を認め、労いの言葉や励ましの言葉を渡してあげてほしい。
中学受験はわが子を潰すためにあるのではなく、わが子の可能性を伸ばすためにあるのだから。
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導に定評がある。