突然ですが、僕は家事が一切できません。一人暮らしだった頃は、脱いだものは脱ぎっぱなし、食べたり飲んだりした食器も、洗いもせずそのまま……。

 そういう人が結婚してしまうと、妻になった人は大変です。イライラしながら部屋のあちこちに散らばる靴下やシャツを拾い集め、汚れた食器を片付けていくことになる。まだ新婚の頃は、我慢の容量にも余裕があるでしょうけど、年を重ねるごとにキャパシティの残量はどんどん減っていきます。

妻の不満が爆発寸前に…

 そんな妻のイライラが、いよいよ怒りへと変わりつつあると感じたのは、1歳になった息子が保育園に通い始めた頃。というよりも、妻が育休を終えて職場復帰した頃、と言った方が正確です。昨年の4月から、我が家は共働き世帯に戻ったのです。

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 まず、洗い物は洗濯機に入れること、食べた食器を台所に運ぶことを繰り返し厳命されました。まぁ、当たり前のことなのでしょうが、こんなことさえ、なかなかに難しいのです。

 その上、今度は家事を分担して欲しいとまで言われてしまいました。もはや「やります」と答えるしかありません。「やります」と答えた後に、「洗濯か掃除をやってよね。どっちにする?」と畳み掛けられ、「掃除かなぁ」としぶしぶ答える僕。

 そう答えたものの、子どもが常に汚しまくる部屋を、今まで使っていたキャニスター型の掃除機で、こまめに掃除できる気がしない……。なぜって、もの凄く面倒くさがり屋の僕は、毎回、物置から掃除機を引っ張り出すのが億劫で仕方ないからです。

 そこでまずは「スティッククリーナーが便利らしいから、買ってもいい? これさえあれば、掃除ができるような気がする」と妻にお伺いを立ててみました。

 Goサインが出たので、さっそくスティッククリーナーを手に入れました。初めは電源コードのある4,000円もしない安価なモデルでした。

手軽なスティッククリーナーは、掃除に革命をもたらした

 これが僕には、そうとうヒットしました。キャニスター型では一切掃除する気にならなかったのに、スティッククリーナーだと「あら不思議」というくらいに、こまめに掃除し始めました。息子が食べ散らかしたものが気になり始め、気がつけば、日に2~3回も掃除機掛けする日もあるほど。

■ツインバード/サイクロン スティック型クリーナーTC-E123SBK
初めて使ったツインバードの「サイクロン スティック型クリーナーTC-E123SBK」。これが自立型だったから、その後に使ってみた非自立型が不便に感じたのかもしれない。電源コードの接続が必要、だけど充電は不要。今でも「エルゴラピード・リチウム」のバッテリーが切れた時に使っている。購入時価格は3,800円(販売終了ですが、後継モデルも同様の価格帯)

 では、これまでのキャニスター型と何が違うのか? まず、スティッククリーナーの主流のサイクロン式は、吸い取ったゴミが半透明のダストカップに溜まっていくのが目に見える。

 「おぉ、こんなにゴミを吸い込んだ!」と分かるので、「オレは今、これだけ部屋をキレイにしたんだ!」と満足感が得られ、モチベーションが上がるのです。

 さらにキャニスター型と違って、部屋の片隅に置いておいても存在感や圧迫感がない。せっかくキャニスター型の掃除機で掃除をしても、使った後に片付けないがために、ますます妻をイライラさせるという悲劇が繰返されていましたが、なぜかスティッククリーナーは、出しっぱなしでも怒られない。この違いは大きい!

 だから、キャニスター型では「掃除しよっかなぁ……でも物置から出すのが面倒だなぁ……今じゃなくて、夜、夕飯を食べてからにしよう」だったのが、スティッククリーナーでは「掃除しよっかなぁ」と思ったら、次の瞬間には掃除機のハンドルを握って掃除し始めている、という具合。

 あと、キャニスター型は、ほとんどが紙パック式。想像してみてください。いざ掃除しようとしたら、紙パックの中のゴミがパンパンだったときのことを。さらに交換用の紙パックを切らしていたりしたら気持ちも萎えます。サイクロン式のスティッククリーナーなら、ゴミがいっぱいになっていたら、ポンッとゴミ箱に捨てて掃除再開です。

 ということで、ちょっと大げさだけど、スティッククリーナーは、僕の掃除に対する意識を変革させた、革命的な家電製品となったのです。

ガサツな僕には自立できるスティッククリーナーが合っている

 そんなスティッククリーナーですが、その後、パナソニックやシャープ、東芝、日立、エレクトロラックスやダイソンなどの最新モデルも使ってみました。仕事と絡めて、いろいろと試させてもらえたのは幸運でした。いくつか使ってみた結果、スティッククリーナーに求めるものが分かってきました。

 吸引力やバッテリー持続時間も大事ですが、僕にとって重要なのは自立できること。そこで、今はエレクトロラックスの「エルゴラピード・リチウム」をメインで使っています。

 まず吸引力に関しては、やはりダイソンが一番だと思います。イメージとしては、他メーカーの強モードとダイソンの標準モードが同じくらい。まぁでも、他メーカーのモデルでも、目に見えるゴミを吸い込んでくれない、なんてことはほとんどありません。うちには猫や犬もいないし、毛の長い絨毯を敷いてもいないので、吸引力にはそれほどこだわりません。

■ダイソン/「dyson V8」シリーズ
コードレススティッククリーナーの代表格、ダイソンの「dyson V8」シリーズは、吸引力の高さが魅力でした。メカメカしいデザインも男性好み。我が家にとって残念だったのは非自立型で、ちょっと壁に立て掛けようという時にも慎重さが必要なこと。充電時間は5時間で、運転時間は約40分(通常)/約7分(強)。実勢価格は63,760円~

 吸引力よりも優先したいのは自立すること。なぜ、自立にこだわるのか? まどろっこしいのが苦手な僕は、掃除するぞ! と決めたら、すぐに掃除機の電源をオンにしたい。息子のプラレールやトミカやレゴが散乱していようが、掃除機をかけ始めちゃいます。すると、どうしても邪魔なモノ(ぬいぐるみとか)、どかしたくなるモノ(座椅子とか息子とか)が出てくる。そんな時に、サッと掃除機から手を離してモノをどかすには、掃除機に自立してもらわないと困るのです。

 非自立型のスティッククリーナーは、壁に立て掛けるか、床に置かねばなりません。そうなると、僕のような(誤った)掃除法では、そのたびに壁に立て掛ける必要がでてきます。立て掛ける際に、細心の注意を払わないと、ズルズルと倒れてしまって面倒くさいことこの上ない。

 さらに自立型は、使い終わったら勝手に突っ立っていてくれるのでラクです。特に「エルゴラピード・リチウム」は、コンパクトなスタンド兼充電台に、片手でカチッと立てておけます。

■エレクトロラックス/エルゴラピード・リチウム(ベッド・プロ・パワー)
メインで活躍しているエレクトロラックスの「エルゴラピード・リチウム(ベッド・プロ・パワー)」。自立型で吸引力もまぁまぁで、ハンディクリーナーとしても使いやすく、我が家にとってはバランスの良いモデル。布団掃除用のノズルも付いている。充電時間は約4時間で運転時間は約45分(標準)/約15分(強)。実勢価格は43,340円

 一方、非自立型の掃除機に付属する充電台は、壁に釘などで取り付ける壁掛け式です。賃貸住まいの我が家では、壁に穴を開けるのは抵抗がある。すると、使い終わった掃除機を立て掛けておく → 息子が遊んで掃除機を倒す → 妻が「置いておく場所が悪い」と僕を怒る、という不幸な結果に終わりました。

 もちろん非自立型のスティッククリーナーの利点もあります。それは、駆動部が手元近くにあるため、クリーナーヘッド近くの下半身がスッキリしていること。箪笥の下など、狭い隙間でもヘッドが奥まで入りやすい。逆に、自立型はヘッドがボテッと太め。ヘッド交換の必要性があり、隙間掃除には向きません。