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沢尻エリカ降板&再撮 大河ドラマ演出家が語る「現場はかつてないほどの大混乱」

「現場はどうなってるの?」映画監督・大友啓史さんアンケート結果コメント

放送の半年以上前からスタートする大河ドラマの撮影

 まず、1年がかりの、全50回近くに及ぶ放送。当然セットも大掛かりになるし、撮影に関わるスタッフは言わずもがな大変な人数です。そのため撮影に関するスケジュール調整はすべて効率化を考えて、非常に細かく設定されています。当然俳優のスケジュール拘束期間も、民放などに比べてかなり潤沢なスケジュールを押さえることになります。私が演出チーフを担当した『龍馬伝』も撮影は1月放送開始の半年前からスタートしていました。現在では、「働き方改革」の影響で、もっと早くから撮影が始まっていると聞いています。

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 例えば、沢尻エリカさんの演じていた濃姫が登場するであろう清州城のセットを想定すると、そこに関連するシーンは何週かに分けてまとめて撮り切るスケジュールが組まれているはずです。

 美術スタッフが脚本に沿ってセット図面を作り、その青図を見ながらどのような芝居を組み立てるか演出家がプランを練り、それに基づき撮影の数日前から大道具スタッフがセットの建て込みを開始、装飾スタッフや小道具スタッフが出来上がったセットに飾りこみをしていきます。そこでようやく収録する土俵が出来上がり、技術スタッフが照明機材や撮影機材を準備、ライティング(照明)などの仕込みをし、リハーサルを経て毎週3~4日かけて、一日毎に放送の15分~20分ほどの素材をスタジオ収録していきます。

 もちろん、シーンによっては、スタジオ撮影だけではなく、遥か遠路でのロケ撮影もあります。そうした撮影を重ね、その後、編集、ダビングなどの作業を経て、一本の放送回が完成します。

放送までの残された時間を考えると……

 こういった作業の末撮り上げた撮影素材が無駄になっただけでなく、再撮影のためには、ばらしたセットをもう一度組み直す作業がある。となると、10話以降の通常スケジュールの撮影と並行しながら、川口春奈さんが登場する再撮影分を、もう一度ゼロから準備していくことになります。川口さん自身のかつら合わせや、衣装合わせ、所作の確認なども含め、撮影スタッフが2班、3班同時に動かないと間に合わない。新しいスタッフや人員が、動員されることになるかもしれません。

代役で織田信長の正妻・濃姫を演じることになった川口春奈 ©時事通信社

 これは現場の制作スタッフや、もう一度同じ演技を要求されるキャストからしたら大きな負担でもあり、放送までの残された時間を考えると、現場は未だかつてないほどの大混乱に陥っているんじゃないでしょうか。