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 また16年4月の、宿泊客が10人未満の時は客室面積の規定を宿泊者数×3・3平方メートルでよいとするなどの規制緩和を受け、特に東京や大阪の都心部や京都などの観光地において、「ホステル」という名称で、外国人観光客や宿代を少しでも安くしようとする若者を中心に支持を集めるようになったのだ。

とはいえ「作りすぎ」では……?

 こうした規制緩和や宿泊客の多様化などを背景に簡易宿所数は17年には3万2451軒となり、2005年比で約45%もの急増ぶりを示している。

 民泊も18年6月の住宅宿泊事業法の施行を受けて、一時は「ヤミ民泊」と言われる無許可の民泊の多くが廃業してその数を減らした。だがその後、許可件数は伸び続けていて、19年10月までに、新しい法律の下での届け出数は2万件を超えるに至っている。

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 こうしたホテル、簡易宿所や民泊などの急増は、いっぽうで「作りすぎ」との懸念や批判を生んでいる。実際にはどうだろうか。

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 19年から21年における国内の主要な都市、観光地における新規開業予定のホテル客室数についてCBREから興味深いデータが発表されている。この調査によると京都では既存の客室数の約5割にあたる客室が新規供給されるとされ、21年には客室数は4万室に、大阪では既存客室数の約3割にあたる客室が新規供給されて、21年には8万室になるという。

紅葉シーズンの京都でも部屋が余っている!?

 すでに影響はこの2つの都市で実際に出始めている。昨年までは客室稼働率が90%を超えるホテルが続出、平均宿泊単価もうなぎのぼりの状態であった京都・大阪だが、今年に入ってから、特にビジネスホテルを中心に稼働率が10%から15%も落ち込むところが出てきている。

 また稼働率の低下に伴って宿泊単価も下落に転じている。大阪市内のビジネスホテルも一時は東京並みに1泊1万円を下らないとされたが、最近では5、6000円で宿泊できるようになった。

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 例年であれば紅葉シーズンの11月はホテルの予約がほとんど不可能だった京都でも、かなり部屋が余っている状態。曜日によっては非常に安く宿泊できる状態だ。

 こうした状況は利用者側からみれば、けっして悪い話ではない。宿泊の選択肢が増え、自分の財布や好みに応じていろいろな宿を体験できるからだ。