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「紀宮さまの夫選び」 どこか近い存在の黒田清子さん

 明仁天皇の長女紀宮清子内親王は、子どものころからその成長がテレビや週刊誌などの新しいメディアを通して伝えられてきた。

美智子さまと紀宮さま(当時) 宮内庁提供

 ボランティア、動物との交流のほか、アニメなどのサブカルチャーにも詳しいと報じられたこともある。皇族という一般国民とは異なる立場にありながら、どこか近い存在、そうした位置づけを紀宮は示していたのではないか。

美智子さまと紀宮さま(当時) 宮内庁提供

 そして結婚相手として東京都庁職員の黒田慶樹氏が発表されたが、黒田家は元華族ではない。そうした意味で、同じ内廷皇族の女性の結婚の前例である昭和天皇の娘たちとは異なっている。こうした状況から、例えば「AERA」2004年11月29日号は「ブランド婚より『わたし流』 紀宮さまの夫選び」とのタイトルを付した記事を掲載し、あくまで清子内親王が自分の意思で相手を決めた結婚だと捉えられた。自分らしさを追求する新しい時代の状況に合った、より私たちに身近な存在になったと考えられたのだろう。

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「饗宴の儀」に参列するため、皇居・宮殿に入る黒田慶樹さん、清子さん夫妻 ©JMPA

愛子さまの「肉声」が人々に伝えられた意味

 では、徳仁天皇の長女敬宮愛子内親王はどうだろうか。2001年12月1日に徳仁皇太子、雅子皇太子妃の長女として生まれた愛子内親王は、皇太子一家の一人っ子として、それまでの内親王以上に生まれた時から注目を浴びていた。

愛子さま 宮内庁提供

 2004年9月には父親の徳仁皇太子が愛子内親王を撮影したビデオが公開されたことがある。これはある時期、愛子内親王が自閉症の疑いがあるのではないかとメディアで騒がれ、それへの対応ではなかったかとも言われる。「パパ」と呼びながら遊ぶ愛子内親王の姿が映し出された映像からは、一般的な家庭と同じ親子の姿を読み取った人々は多かったのではないか。

雅子さまと愛子さま 宮内庁提供

 それまでの皇室映像は、例えば『皇室アルバム』のように、映像にアナウンサーのナレーションが付されることが多く、皇族たちの日常の声が(語りかけること以外で)人々に届くことは数少ない。しかし愛子内親王は、子どもの時からその声がメディアを通じて人々に伝えられる女性皇族だったのである。