「僕が一生全力でお守りします」

 新天皇に即位する皇太子は、1992年10月、新浜鴨場(千葉県市川市)で、当時外務省に勤務していた小和田雅子さんにプロポーズした。その際の言葉である。翌1993年1月19日、皇室会議が開催され、正式に婚約が内定する。その際の記者会見で、雅子さんは心を打った言葉として「雅子さんのことは僕が一生全力でお守りしますから」というような言葉があったと述べ、これが大きく報道されて、人々に好意的に受け止められた。6月9日に結婚の儀が行われ、パレードには約19万人もの人が集まり、二人の結婚を祝福している。

1993年1月19日、婚約内定記者会見での皇太子さまと小和田雅子さん(当時) ©JMPA

2代目「民間出身」の皇太子妃

ADVERTISEMENT

 それは、2代目の「民間出身」の皇太子妃の誕生を人々が歓迎していたからである。東京大学、ハーバード大学出身、外務省勤務というキャリアを持つ小和田雅子さんは、男女雇用機会均等法施行後の女性の生き方を象徴するような存在だった。昭和の専業主婦を目指す女性とは異なり、いわゆるキャリアウーマンが伝統的な皇室に入るという出来事は、「開かれた皇室」と言われていた平成の天皇制を象徴するものとなった。

1993年6月9日、結婚パレードでの皇太子さまと雅子さま ©JMPA