沢尻エリカが麻薬取締法違反容疑で逮捕されてからというもの、過去に彼女が出演した作品がにわかに注目されている。なかでも2005年公開の映画『パッチギ!』は、ネットで話題になっているようだ。

 1968年の京都を舞台としたこの作品で、沢尻(公開当時18歳)は朝鮮高校に通う在日コリアンの少女を演じた。劇中では、朝鮮高校と府立高校の生徒が激しい喧嘩を繰り広げるなか、塩谷瞬(同22歳)演じる府立高校の男子生徒が彼女に一目惚れする。物語はこの2人と高岡蒼佑(同22歳)演じる彼女の兄(朝鮮高校の番長)を中心に、民族差別などの問題を織り込みながら、悲喜こもごもの青春群像劇として展開された 。

『パッチギ!』の出演陣にはこのほか、真木よう子、尾上寛之、波岡一喜、桐谷健太など現在も活躍する当時の若手俳優が名前を連ねた。作品は『キネマ旬報』の年間ベストテンの1位に輝いたほか、沢尻と塩谷の演技も高く評価され、日本アカデミー賞の新人俳優賞にも選ばれている。

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2006年3月の日本アカデミー賞授賞式。『パッチギ!』監督の井筒和幸と新人俳優賞を受賞した塩谷瞬(左)、沢尻エリカ(右)

沢尻、高岡、塩谷、小出……相次ぐスキャンダル

 ただ、後年、出演者があいついでスキャンダルに見舞われた。沢尻は2007年、出演映画の初日舞台挨拶で、質問に対し不機嫌そうに「別に」と繰り返し、後日謝罪する。さらに2012年には所属事務所から契約解除を通告された。『週刊文春』では、違法薬物使用がその理由ではないかと、このときすでに取り沙汰されていた。他方、高岡は2011年、ツイッターで日韓における問題点について意見を述べたところ、激しい批判を受け、直後には事務所より契約を解消された。また、2016年には傷害容疑で逮捕されたが、被害者との示談が成立し不起訴処分となった。塩谷も2012年に複数の既婚女性との交際が報じられ、激しくバッシングされた。『パッチギ!』の出演者ではまた、塩谷の同級生役で出演した小出恵介も、2017年、深夜に10代の少女をバーなどに連れ回したとして、大阪府青少年育成条例違反の容疑で書類送検され(のち不起訴処分)、現在にいたるまで芸能活動を停止している。

2005年に公開された映画『パッチギ!』

『パッチギ!』の監督の井筒和幸は“卒業生”たちの騒動があいついだ2012年、同作制作時の沢尻・塩谷・高岡について『週刊文春』で語っていた(※1)。それによれば、井筒の映画のオーディションでは《生い立ちや人生のエピソード、あるいは、物事に対する考え方なんかを聞く》が、《「パッチギ!」の時は、特に「何に耐えて生きてきたか」を重点的に見》たという。また、沢尻と高岡は当時の所属事務所から頼まれて「オーディション」したとも明かした。井筒はまず、初対面時の高岡の印象をこう語る。