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沢尻エリカ、塩谷瞬、高岡蒼佑、小出恵介……映画『パッチギ!』卒業生の波乱万丈

沢尻エリカ、塩谷瞬、高岡蒼佑、小出恵介……映画『パッチギ!』卒業生の波乱万丈

小栗旬は沢尻に警鐘をならしていた?

2019/12/01
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 井筒は、沢尻や高岡についても、《俺は、卒業生たちがその後、何してるか詳しくは知らないけど、やっぱり、その子それぞれの理由があるんやろと思うよ。エリカだって、なまじ、演技のセンスがありありなもんやから、色んな作品に引っ張りだこになって、いいかげんウザくなったから「別に」って言ったんじゃない?(笑)》、《高岡だって、ツイッターみたいなオモチャで何つぶやいたか知らんけど(中略)、そんな井戸端の寝言か、つぶやきごっこでしか、暇つぶしができない現代こそ問題ありだと思うよ》と弁護してみせた(※1)。

再び才覚を発揮し始めた高岡と塩谷

 3人は騒ぎを経て、再びそれぞれの才覚を発揮し、活躍してきた。高岡蒼佑はツイッターでの騒動と前後して宮本亜門演出の『金閣寺』(三島由紀夫原作)でニューヨークのリンカーンセンターの舞台にも立ったほか、映画『ROUTE42』(瀬木直貴監督)では主演を務めた。また、2012年に事故で急死した若松孝二監督の遺作『千年の愉楽』(中上健次原作)では、不吉な血を受け継ぐ男たちのひとりを好演している。田口三好というその役をオファーされたとき、高岡はそれまで所属した事務所を離れ、ちょっと仕事を休んで旅でもしようかと思っていたころだった。そのため当初はこの依頼も断るつもりだったが、台本を読んで考えが変わる。本人によれば《台本を読んだときに、滅多にないことなんですけど、その台詞で自然と感情がこみ上げてきて泣いてしまった。この役を他の人にやらせたくないと思ったんです》(※2)。

高岡蒼佑 ©文藝春秋

 役に共感して引き受けたというだけに、スクリーン上で高岡は、さまざまな悪事に手を染める一方で、子供のような無邪気さを持った三好を見事に演じきっていた。それまで報道で伝えられるイメージから彼にいい印象のなかった筆者も、これを観てすっかり魅了されてしまった。なお、この作品で若松監督の薫陶を受けた高岡は、往年の若松プロダクションを描いた昨年公開の映画『止められるか、俺たちを』(白石和彌監督)にも、映画監督の大島渚の役で出演している。私生活では、2011年に離婚した女優の宮﨑あおいが2017年に再婚すると、宛て名こそないもののインスタグラムに祝福のメッセージを投稿した。昨年末には、自身もすでに再婚して2児がいることを明かしている。現在は再婚した夫人の支えもあり、メンズ向けファッションのブランドの制作にも本腰を入れているという(※3)。

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 塩谷瞬は、30歳を節目として、約200ヵ国を目標に世界を旅するプロジェクトを開始するとともに、さまざまなボランティアや支援活動にも尽力している。俳優としては、2017年に映画『母 小林多喜二の母の物語』(山田火砂子監督)でプロレタリア作家・小林多喜二を演じた。同年にはまた、親善大使を務めるネパールでドラマと映画をつくる企画が進んでいると、週刊誌への寄稿で記していた(※4)。ただ、昨年、違法ファンド会社に投資被害にあったと報じられたのが、気がかりではある(※5)。