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小栗旬は沢尻に警鐘を鳴らしていた?

 沢尻の近年の活躍はいまさらここで書くまでもないだろう。昨年、主演映画『猫は抱くもの』(犬童一心監督)の公開時の記事では、どんな作品でも自分がなくなるまで役に染まってしまうため、《役を引きずることなく、コントロールできるようになるのが課題》と語っていた(※6)。

©文藝春秋

 今年9月には出演映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』が公開されたばかりだった。このとき沢尻はテレビ番組で、監督の蜷川実花と共演相手の小栗旬と鼎談している。沢尻が逮捕されたあと、この番組での小栗の発言が、まるで彼女に警鐘を鳴らしていたかのようだと、SNSでちょっとした話題になった。引用するなら、このとき小栗は「俳優は別人格を演じることに命を懸けているから、気がつくと何かに頼ってしまう瞬間がある」と、実際にそのために薬物の過剰摂取などで死んでしまった名優たちの名をあげたうえで、《でも一番重要なことは(中略)、僕らは人を殺したことはないけれども、人を殺す役をやらなければいけないというのが、一番究極で悩まなければいけない部分だと思うんだよね。となると、ほかのそういうことだって、「じゃあドラッグの役だからドラッグやります」とか、そういうことじゃないよねと。(中略)「いろんな想像力で補いましょう」っていうのが一番重要なところになっていくよね》と語っていた(※7)。

「別人格を演じることに命を懸けているからこそ、気がつくと何かに頼ってしまう」――沢尻が薬物に手を染めてしまったのも、そこに原因があったのではないか。しかしそれはもちろん違法行為であり、何より自分の身体を蝕むことでもある。前出の井筒和幸は、今回の彼女の逮捕を受けて、《オリの中で自分を見つめなおす時です。自分をしかって猛省してほしい。罪を反省して、また日が昇る時が来る。そうなったら激励、叱咤(しった)して、映画の役があればオファーしたい。卒業生ですから、いの一番に助けてあげたいと思ってる》とコメントした(※8)。ファンならずとも、沢尻エリカが唯一無二の俳優と認める人はきっとたくさんいるだろう。いまはただ、法の裁きを受けつつも、適切な治療を受けて、いつかまた俳優として復帰する日が来るのを願うばかりである。

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『パッチギ!』のプレミア試写会にて。前列一番右から沢尻エリカ、井筒和幸、真木よう子、楊原京子。後列右から小出恵介、塩谷瞬、波岡一喜

※1 『週刊文春』2012年6月14日号
※2 『ピクトアップ』2013年4月号
※3 『スポーツ報知』2018年11月17日配信
※4 『週刊現代』2017年2月11日号
※5 『週刊新潮』2018年10月25日号
※6 『AERA』2018年7月2日号
※7 『ボクらの時代』2019年9月22日放送分(フジテレビ系)
※8 『日刊スポーツ』2019年11月18日配信