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「今までモテたことはあんまりないです」

――実は今日、一冊の本を持ってきています。俳優でミュージシャンの星野源さんのエッセイ集『よみがえる変態』(文春文庫)。神木さんと共演したドラマ『11人もいる!』の頃の思い出を綴った一編が、「神木隆之介はどんな人物か?」を知る恰好のサンプルだと思うんですよ。冒頭でまず、<子役出身の俳優は「幼い頃から芸能界のいろいろにまみれていそう」という偏見で将来を心配される傾向にあるけど、神木くんは奇跡的なほどに純粋な青年に育っている>。……どうしてそれが可能になったんですか?

神木 母の教育がよかったからじゃないですかね(笑)。身内に芸能活動をやっている人もいないし、本当に普通の家庭なんですよ。

木村ひさし監督と演技の確認をする神木さん ©2019『屍人荘の殺人』製作委員会

――続けて<神木くんには、いつも友人と、もしくは一人でも行くお決まりの遊びのコースがあるという。へえ、今度連れてってよ、となんの気なしに言うと「源さん! 一緒に行ってくれるんですか!?」と目を輝かせながら腕を握ってきた>。……この人懐っこさ!

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神木 あはは。源さんとは、ボウリングとカラオケに行きましたね。歌手の方をカラオケに連れて行って、僕がいっぱい歌うっていうひどいことをしちゃいました(笑)。

高校時代はよく放課後に遊びに来ていたというボウリング場へ
段々と神木さんの表情も真剣そのものに……

――神木さんは当時、卒業間近の高校3年生。エッセイの最後で<悩み相談に答え、頭を下げられるも、お礼を言いたいのはこちらの方だと思った>とあるんですが、星野さんにしたのは進路についての相談だったんでしょうか?

神木 いえ、違いますね。「どうやったらモテるんですか?」とか。

――モテなかったんですか!?

神木 モテないですよ! 今までモテたことはあんまりないです。みんな仲良く、友達になりますね。あきらめてます。いいんです、もう。

――あきらめるのが早くないですか(笑)。「恋愛したら『友達』じゃなくなっちゃう」みたいな感覚があったりするんですかね?

神木 それは無いですね。というか恋愛が終わった後って、友達に戻れないものなんですかね? その人と悪い思い出しかなかったら関わりたくないって思うかもだけど、もしもいい別れ方だったら、その後も友達で行けるかもしれないですよね。

 

「とりあえずやってみて、失敗したら『ごめんなさい』でいい」

――確かに「恋愛したら『友達』じゃなくなっちゃう」からやめるというのは、ナンセンス。

神木 一回きりの人生ですから。自分に好きな人がいて、付き合える可能性がゼロじゃないとする。待っていてもしょうがないし、動かないと何も始まらないですよね。「いいえ」って言われた場合はどうするってことは、後から考えればいいと思うんですよ。告白しようかな、どうしようって迷っている間に、誰かに取られるかもしれないじゃないですか。

 仕事とかも同じで、とりあえずやってみて、失敗したら「ごめんなさい」でいい。「これをやりたいんですけど、こういうリスクがあります。やっていいですか?」って上司に聞いて、いいって言われたらやればいいし、ダメって言われたら「そうか、分かりました」でいいと思うんです。動く前に考えすぎちゃって止めるのは、ちょっともったいないのかなとは思いますね。